研究課題/領域番号 |
23501081
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
細川 靖 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50270195)
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キーワード | 北限の海女 / 仮想体験 / 技術伝承 / モーションキャプチャ / 水中 / ユーザインタフェース / 出前授業 / 技術教育 |
研究概要 |
これまで研究した仮想体験学習システムを基にして現実感向上を行い発展させるため,平成24年度は,現実感向上のための海女水中計測調査を行った。 海女の潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,データ分析,現地データ収集,海中の計測・解析を行うため,モーションキャプチャソフトウェアや画像解析用PC,撮影用カメラを調達した。これらと試作したキャリブレーション用アルミ製格子を用いて,水中での海女の動きのモーションキャプチャを行った。平成24年度は台風等の荒天で予定した小袖海岸での本格的な潜水調査が実施できなかったため,平成25年度に含めて実施の予定である。また,関連した研究成果について,本校専攻科の研究協力者と学会発表を行った。 1.現実感向上のための海女水中計測調査(目的:潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,現地データ収集) 小袖海岸の北限の海女に潜水を依頼し,ビデオカメラを2台用いて潜水業者のダイブサービスアネシスに潜水ビデオ撮影を依頼した。小袖海岸での撮影は平成24年9月24日と10月4日の2回予定したが台風などによる悪天候で安全確保できず海での撮影はできなかった。そこで天候に影響されないプールでの撮影に変更した。平成24年10月31日に青森県立八戸水産高等学校の水深5[m]プールを借りて2名の海女の潜水動作撮影を行った。海女の探索,潜水,浮上の一連の動作を7シーン撮影できた。しかし,試作した格子に取り付けたLEDが隠れカメラに映らないことや試作格子が重く沈んで取り付けに時間必要なこと,水中の屈折率が大きいためカメラとの距離を取る必要があることなどの問題点が明らかになった。この動画像とモーションキャプチャソフトを用いて,動作のキャプチャを行った。モーションキャプチャに関しては,研究協力者の市村洋教授と補助学生にアドバイスを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月11日に発生した,平成23年東北地方太平洋沖地震により岩手県久慈市小袖海岸も甚大な被害を受けた。港湾施設のみならず,北限の海女の活動拠点である「海女センター」も津波の襲来で跡形無く破壊された。平成23年度はその影響のため,本格的な調査ができない状況で研究に遅れが生じた。平成24年度には,海女の潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,現地データ収集を行った。水中におけるモーションキャプチャを実施できた。しかし,荒天のために現地小袖海岸では調査ができず,5mプールにおける調査であった。そこで平成25年度に海中でのモーションキャプチャを追加実施する必要が生じた。また新人海女が事情により辞めてしまったため,新人海女のデータ計測を断念した。そこで,ベテラン海女のモーションキャプチャと動作解析を行うことにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,海中でのモーションキャプチャは荒天のため実施できなかったが,5mプールにて,北限の海女の水中における潜水動作のモーションキャプチャが実施できた。小袖海岸での計測ができなかったため,予算使用予定が変更になった。そこで平成25年度は,久慈市小袖海岸の海女センターの実際の現場にて,ベテラン海女の海中のモーションキャプチャを実施する。このためのキャリブレーション格子をさらに改善して,安全確保を第一として海女が漁を行っている9月までの間に再度潜水調査を実施する。研究の遅れについては,研究協力者として本校専攻科学生・本科生を加え,研究補助を行い研究進展を行う。なお,新人海女については諸般の事情により辞めてしまったため計測ができなくなったので,計測可能なベテラン海女を研究対象とする。 また,水中データ解析とシステム応用については,モーションデータを基に潜水動作閲覧システムを試作することで実現する。また,試作システムや開発した仮想体験システムなどを用いて,久慈市以外の地域で出前授業や展示イベントを実施する。これらから得られた児童などの体験結果やアンケート結果を海女に評価依頼する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,現実感向上のための小袖海岸での海女水中計測調査と水中データ解析とシステム応用,沿岸地域と内陸地域での出前授業実施・分析評価を行う。平成24年度は荒天のために安全確保ができず本格的な小袖海岸での潜水調査ができなかったため,平成25年度にこれを含めて海女の潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,データ分析,現地データ収集海中の計測・解析を行う予定である。また,関連した研究成果について,本校専攻科の研究協力者と学会発表を行う予定である。 ・現実感向上のための海女水中計測調査(目的:平成24年度に追加し,小袖海岸における潜水時のモーションキャプチャとデータ計測,潜水時ビデオ撮影,データ分析,現地データ収集) 潜水場所を変更して,実際の小袖海岸の海女に潜水を依頼し,ベテランの海女に潜水をしてもらい,その様子を分析するため,ビデオカメラを2台用い潜水業者のダイブサービスアネシスにビデオ撮影を依頼する。久慈市漁業生産部には,観測用の船の手配を依頼する。天候が悪く計測できない場合には,海女が漁を実施している9月末までの間に再度行う。収集した,ビデオ画像や,モーションキャプチャデータをもとに,海女ごとの分析を行う。データ整理・現地調査補助には研究補助として,本校学生に依頼する。 ・水中データ解析とシステム応用,沿岸地域と内陸地域での出前授業実施・分析評価 計測したベテラン海女の潜水動作データを解析し,ベテランの海女の動作をシステムで再現可能とする。開発したシステムを用い,久慈などの沿岸や盛岡などの内陸の小中学校で出前授業を実施する。体験の結果をアンケート形式で確認する。また,アンケート結果を北限の海女にも評価依頼し,本研究の評価の参考とする。
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