研究課題/領域番号 |
23501088
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
洞口 俊博 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 研究主幹 (00238768)
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キーワード | 科学教育 / 地学 / 天文 / 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 |
研究概要 |
天文分野の学習においては、物理や化学のように「実験」を行って知識を確認することが難しく、「観察」を行って学ぶことも小学校を除いてはなかなか行われていないということがしばしば指摘される。本科研費では、実際に教育現場にいる学校教員や社会教育施設の職員、さらには学生、生徒が自ら天体を観測し、教材を作成したり学習したりすることが可能となるプログラムの開発を目指す。固定した内容の教材で受動的に学ばせるのではなく、主体的能動的作業を通して得た独自の天文教材を通して、自らの宇宙について本質的な理解を獲得できるシステムを構築する。 中間年度となる今年度は、単発の観測で学習が可能なもの(例:天体の大きさ教材)、および長期の観測が必要となるもの(例:年変化をともなう現象教材)の開発、観測を続けるとともに、複数箇所で同時に共同して行う観測プログラムの1つとして、2012年5月の金環/部分日食の観測を日本各地で行い、それを利用した教材の開発を行った。先行して開発したプログラムについて調査票やワークシートを用意し、それらの実践・評価を研究協力者の学校で行うとともに、試行評価の結果については、日本天文学会の年会でポスター発表を行った。この研究の結果については、まもなく地学教育学会誌に論文を投稿する予定となっている。1月には宮城県の仙台市天文台を会場に、教員・学芸員向けのワークショップ(講習会)も開催した。これらの教材の開発、実践、評価作業は、連携研究者や学校教員を含む研究協力者とともに、電子メール等を活用しつつ、適宜会合を開いて進められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で予定している単発観測教材、長期観測教材、共同観測教材については、それぞれ順調に開発、観測、検討が進められており、開発されたプログラムの評価や講習会の実施についても、適切な方向で方法が確立されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行った実践評価や講習会の結果をもとに、教材プログラムの雛形化を進める。長期観測教材や共同観測教材についてはさらに開発、改良を進め、シンポジウムを開いて開発プログラムの最終的な評価、総括を行うとともに、インターネット等で広く公開を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度である来年度は、教材プログラムの実践、改良を電子メール等を活用しつつ研究協力者と適宜会合を開いて進めるとともに、それらの評価と利用の促進のために総括的なまとめのシンポジウムを開催する。開発成果は完成したものからインターネットで広く公開を行うとともに、印刷物としても配布を行い、理科教育関連学会、日本天文学会等で発表を行う。
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