研究課題/領域番号 |
23501090
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田邉 鉄 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (30301922)
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研究分担者 |
山崎 直樹 関西大学, 外国語学部, 教授 (30230402)
清原 文代 大阪府立大学, 高等教育推進機構外国語教育センター, 准教授 (90305607)
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キーワード | 中国語教育 / 自律学習 / 協調学習 / ゲーム教材 |
研究概要 |
1.実運用での検証に向けたシステム整備 (1)前年度までに調査した、大学1年次の学習文法項目と基本語彙を整理・最適化し、サーバ上にデータベースを構築し、ゲーム型教材の検証用システムを完成させた。(2)研究代表者田邉は、カードゲーム型教材のコンテンツを、語彙以外に単文およびチャンク(意味上のまとまり)まで広げるための改良を行った。また、よりゲーム性を高めた並べ替え作文パズル教材・二人対戦のタイムアタックモード、および、「パンダポイントシステム」についてプロトタイピングを行った。(3)分担者山崎は、データベースの最適化を行った。また、前年度「タンジブルな要素のある教材」の基本設計を行ったのを受け、Web上で自由にパネルを動かしながら構文を学べるシステムの開発を行った。(4)分担者清原は、前年度に引き続いて教育実践の分析を行った。また、前年度の成果を受けて「並べ替え作文パズル」教材の基本的なコンセプトをまとめた。 2.中国語教授理論における位置づけの検討 (1)代表者田邉は、従来の文法シラバスや会話表現リストをゲームを通して学習者が体験する「物語」に置き換えても体系的な教材を作ることができるという基本的な理解に達した。検証のためRPGをベースにした教材を実践内容に追加し、簡単なプロトタイピングを行った。(2)分担者山崎は認知心理学等の見地から、ゲームの与える感覚的な刺激が言語学習に良い影響を与えることを示唆した。(3)分担者清原は、従来の教材と異なるこれらの試みを、従来通りの枠組で行われる授業に導入できるか、また、効果を上げることはできるか、について検証した。その結果、文法説明を中心とした一斉授業では、競い合いと教え合いが交互におこるゲーム型教材のメリットは十分に生かせないことがわかった。 研究成果は、8月のPCカンファレンスと3月のe-Learning教育学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.昨年の試作システムに続き、実運用での検証のためのシステム準備が整った。 2.教材システムを35名×2クラスで試用を行い、おおむね期待通りの成果を得られることが確認できた。 3.昨年積み残した開発についても、プロトタイピングまでは全て完了しているので、研究期間中に全ての試用・検証が可能なめどが立った。
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今後の研究の推進方策 |
1.実運用環境を各分担者の担当クラスでも使用し、検証を行う。 2.昨年プロトタイピングを済ませた各サブシステムを完成させる。主としてポイント制と対戦部分で、ここまでの研究で明らかになった、ゲーム性を高めることによる学習者のモチベーション向上効果を、さらに深く検証する。 3.より広い範囲で利用できるよう、代表者田邉がサーバ環境を調整し、ゲームシステムを公開する。また、今後の成果物を共有するための枠組について検討する。 4.中国語教授理論における位置づけをより明確にするため、分担者山崎を中心に、ひきつづき国内外の中国語教育実践の収集と言語教育上の課題の整理を進める。 5.分担者清原を中心に、利用者・教授者に対するアンケートの作成・実施、聞き取り調査等を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
経費の節減の結果生じた使用残について、研究成果報告のためのデザインソフトウェアおよびストレージメディアに用いる。
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