本研究の目的は、大学教員の教育業績評価の1つの方策として、「e-ティーチング・ポートフォリオ」システムのあり方を検討し、プロトタイプを構築することをである。 今年度は、「e-ティーチング・ポートフォリオ」における「授業映像」の活用方法を検討し、ポートフォリオに活用できるように編集した映像コンテンツを試作した。「授業映像」をそのままポートフォリオにリンクさせても、閲覧するのに90分もかかるのであれば、ポートフォリオの根拠資料としては意味がない。そこで、授業を撮影した映像と授業に関するインタビュー映像を組み合わせて、短時間で視聴できる映像コンテンツを開発し、これを「e-ティーチング・ポートフォリオ」の根拠資料とすることを検討した。この結果、(複数の教員の授業映像等に対して)12分程度のコンテンツにまとめることができ、根拠資料として利用可能なことを確認した。これらの成果は、関連する研究者や技術者等が集う国際会議で発表している。 海外調査として訪問したフランスでは、パリ以外の地方の大学において、大学教育に関するセンター等を設立する大学が多く、それらのセンターで教員の教育力の向上やその教育業績評価のために「e-ティーチング・ポートフォリオ」の導入等についての検討は始めているが、現時点で導入している大学はなかった。しかし、政府主導でMOOCへの参入などを進めているので、近いうちに「映像コンテンツ」の活用ははじまる可能性があり、今後も情報交換を行うことを確認した。 最終的に、映像コンテンツや教育支援システムが持っている情報を利用した「e-ティーチング・ポートフォリオ」の画面案を試作し、研究最終年度の成果とした。
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