研究課題/領域番号 |
23501096
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
黒木 速人 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (00345159)
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キーワード | ヒューマン・インタフェース / 障害者支援 / 高等教育支援 / 教育工学 / 認知科学 |
研究概要 |
音声認識を用いた字幕呈示システムにおいて,精度100%の字幕の生成は技術的に困難であり,呈示される字幕には誤認識が含まれ不完全な文章になる.しかしながら,字幕精度を100%にして,字幕のみで情報呈示を行う必要はない.重要なのは情報取得者の内容理解度を100%にすることであり,そのためには呈示する複数の情報から総合的な理解度を100%にすることが重要となる.だだし,呈示する情報の組み合わせ方など,呈示方法によっては内容理解を阻害する可能性もある点に注意する必要がある.本課題では,本システムが呈示する情報において,音声認識結果である誤認識を含む不完全文と,話者の発話時のノンバーバル情報を呈示させる際に,ヒトが阻害なく情報補完や情報統合が行える最適な情報呈示方法の研究を実施する. 昨年度までに,不完全文に対し話者の発話時の顔全体映像に意図的に時差を設けた呈示試料を用いて,完全文(正解文)に対する回答文の正答率を文理解向上の指標として測定した.その結果,いずれの被験者群においても正答率が「字幕先行>同時呈示>顔先行」となる傾向があった.今年度は,この研究過程において生じた新たな課題として,字幕先行条件において,なぜ回答文の正答率が向上するのか,つまり今回の実験で設定した字幕先行・ノンバーバル情報後行の呈示条件において,被験者はどの様に情報取得を試みているのかを視線追従装置などの実験設備で確認する実験の準備を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究遂行過程において生じた新たな課題を解決する意味では進行しているが,当初の研究計画全体から判断すると遅れている.ただし,不完全文と話者の発話時のノンバーバル情報の複数情報呈示条件において被験者がどの様な情報取得を試みているかを実験で確認することは,十分価値のある実験であると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究過程から新たに得られた,不完全文と話者の発話時のノンバーバル情報の呈示時差条件における被験者の情報取得の戦略を確認する実験のためには視線追従装置の様な特殊な実験装置が必要となる.この実験を実施することで,被験者が不完全文と発話情報の複数情報からどの様に情報取得しているのか,言ってみれば,バーバルとノンバーバルの複数情報からヒトはどの様に情報取得をしているか,と言った認知に関する基礎的な知見が得られると考えられる.早期に実験遂行,成果発表・成果論文化の作業を行っていく予定である.
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