研究課題/領域番号 |
23501104
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大島 律子 静岡大学, 情報学部, 准教授 (70377729)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | learning management / epistemic agent / formative assessment / activity system |
研究概要 |
本研究の目的は,協調学習のマネジメント能力を向上させるための教育プログラムを開発することである.平成 23 年度は,先行研究を引き継ぐ形で開発中の初年次科目(基礎的内容)の授業デザインの改良に取り組み,学習者に提供する形成的評価指標の改良と,学習環境のデザイン原則を導き出すことに取り組んだ.具体的には,大学初年次科目として「学習マネジメント」の授業デザイン改良を行った.具体的にはブレンディング型の実施形態で,対象学習者数は大学1年生の2クラス約100名であった.少人数のグループでプロジェクト・ベースの課題に取り組むというもので,協調学習支援システムを導入し,学習活動の軌跡とそれに対する学習者自身の形成的評価の記録が俯瞰的に把握できるような仕組みを整えた.開発科目は10月から1月の期間で実施した.協調学習支援システム上の記録や授業観察記録,学習者に課したレポートなどのデータ収集を行った.収集データは現在分析を行っている途中である.また,学習支援方略を検討する際に必要となる,学習活動時のマネジメント能力を同定するために,大学3年生を対象とした授業をターゲットとしたデータ収集を行った.協同問題解決時における学習者の発話について,shared epistemic agencyという観点から分析を行った.分析結果の一部は日本認知科学会第28回大会にて発表を行った(協調学習におけるEpistemic Agentの活動についての考察).さらに,平成24年度から開発を着手する予定である新規開発科目(発展的内容)に用いる理論や教材について検討を行うために,試験的な授業パッケージを開発し,数名に対して実施した.収集データは現在分析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の目標である大学初年時科目の授業デザイン改良は,予定通りに進んでいるが,データ分析に要する時間が膨大であるため,今後の進捗に影響を及ぼす懸念がある.一方で,平成24年度より着手する予定の新規開発科目について,試験的なデータ収集が出来たことは,研究全体の進捗の上でプラスになると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度使用の費用が発生した理由については,主に1.諸事情により,データのバックアップ環境の構築方法を変更したこと,2.授業デザイン検討の過程で,課題内容の大きな見直しを行い,準備する教材を変更したこと,3.データ分析に想定より時間がかかっていること,によるものである.今後については,特に3.に関して分析をスピードアップさせるための人的資源の確保などを検討している.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度については,平成23年度に遅れた部分について取り戻すこと,そして,前倒しで試験的に実施した新規科目開発に関連して,当初の予定よりも教材費用がかかる可能性が明らかになったため,次年度使用の費用をこれに回すことを検討している.
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