研究課題/領域番号 |
23501104
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大島 律子 静岡大学, 情報学部, 教授 (70377729)
|
キーワード | カリキュラム・教授法開発 |
研究概要 |
本研究の目的は,協調学習のマネジメント能力を向上させるための教育プログラムを開発することである.社会的構成主義の立場から学習環境構築の理念として知識構築コミュニティに基づき,深い思考力と高い問題解決能力,他者との協働に優れた人材育成のためのカリキュラムを構成する.このことにより,通常の教育では埋もれがちな学生の資質を伸ばし,将来リーダー的役割を果たせる優秀な人材として社会に輩出するシステムを整えることが最終目標である. このような目標をふまえ,平成24年度は,これまで継続して行っている大学初年次科目(基礎的内容)などからデータを収集し,そこで導入している種々の学習環境デザインのための要素技術について,問題点の洗い出しと,それを踏まえたデザインの改良を行い,さらに実際の学習場面に適用することでデータ収集を行い,効果の検証を行った.先行研究から継続しての授業デザインのPDCA サイクルを回すことで,形成的評価指標の最適化と学習環境のデザイン原則の明確化,要素技術の確立を目指している. さらに,発展科目の学習環境デザインの要件定義と具体的な要素技術の確立のために,教材の開発に着手した.具体的には,活動理論を理解させるための学習活動として,テレビドラマ分析を核とした学習環境をデザインし,その効果と問題点の検証を行った.そして,前年度の試行を踏まえてプロトタイプを作成,再実施し,デザイン要件の再定義に向けて検討を行った(継続中).
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発する2つの科目の開発,実施とデータ収集については,予定通り行えているためおおむね順調に進展していると考えられる.ただし,詳細な分析に想定以上の時間がかかっていること,また,デザインの要素技術について新たに検討するべき点が見つかったことから,全体的にデータ収集と分析に想定以上の時間を要している点が課題として残る.
|
今後の研究の推進方策 |
基礎的科目,発展科目と合わせて要素技術確立のために他校・他科目で,授業デザインと実施,分析を行い,さらに学習環境デザインの要件と要素技術の確立をめざす.特に,発展科目については,教材としてのテレビドラマが持つべき条件を定義するために,種々のドラマを対象として分析を実施する予定である.ドラマ分析を強固なものにするためにNHKアーカイブスの学術利用トライアル研究IIに応募し,採択されているため(http://www.nhk.or.jp/archives/academic/result/result2-2.html参照),この機会を利用し集中して分析を行うことで,ドラマの持つべき仕様を明らかにする. また,国内外の学会に参加し情報収集を行うことで,関連の深い研究からの知見を得,本研究の質を向上させることを目指す. さらに,これまで得られた研究の成果を,国内外の学会発表や研究論文の投稿を通じて,広く公表していく予定であるとともに,確立されたデザイン要件や要素技術は,カリキュラムをパッケージ化することで,他大学の教員が実施できるような仕組みを整える予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,授業実施とデータ収集のために,次のような9項目について研究費使用を計画している: 1.研究対象授業実施に係る資料作成,2.教材類の作成,3.データ収集のために用いるシステムの管理・運用費用,4.データの保管用メディア類,5.授業支援者やデータ整理,データ分析に関わる謝金,6.5の作業に係る業者委託費用,7.情報収集や研究発表として,国内外への学会参加に関わる費用,8.研究成果の発表に関わる費用,9.パッケージ化補助者の謝金.
|