研究課題/領域番号 |
23501111
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山地 弘起 長崎大学, 大学教育機能開発センター, 准教授 (10220360)
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研究分担者 |
保崎 則雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70221562)
三隅 友子 徳島大学, 国際センター, 教授 (20325244)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / アメリカ合衆国 / 高等教育 / コミュニケーション教育 / FD |
研究概要 |
本研究は、21世紀型ジェネリックスキルの中核となるコミュニケーション力に焦点を当て、コミュニケーション学と学習科学の知見に基づいて大学のコミュニケーション教育の変革に資することを目的としている。平成23年度は、国内外の大学におけるコミュニケーション教育の現状把握と課題抽出を目指した。そのために、国内および米国の大学についてウェブ上の資料や教育改善関連の報告書から全体的な状況を把握し、特にアクティブラーニング事例に着目した訪問調査を行って、コミュニケーション力向上の教育方法と課題を展望した。 一方、学内外で必要とされているコミュニケーション能力の内容を検討するために、異文化コミュニケーションや医療コミュニケーションに関するワークショップ研修を行い、参加者へのアンケート調査を行った。また、教員対象のワークショップ「教師のための『教える・学ぶ・ケアする』」を試行し、サイコドラマの手法を応用してケアリング実践の深化を図った。さらに、英語教育との関連で、ナラティブ分析によって英語上級者のコミュニケーション力の自己育成に真正性のある問題解決実践が鍵になることを明らかにし、フィールドにおいても、大学生の海外協働研修がmediating artifactの経験(メディアプレゼン、オープンハウス、日本語教育補助員(TA)、授業聴講)を介して総合的なコミュニケーション力向上につながっていたことを確認した。 以上は、事例調査と実践研究の双方からコミュニケーション教育の内容と方法を洗練していくための重要なプロセスである。なお、研究代表者の本務校における教養教育改革が進行中であったことから、現段階の基盤情報を踏まえて、9科目から成る「コミュニケーション実践学」のカリキュラムを試作した。学生からの履修希望は他の科目群より遙かに多く、これは学生のニーズに対応した内容・方法となっていることの傍証となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は、国内外の大学におけるコミュニケーション教育の現状把握と課題抽出を目指したため、研究分担者にはおもに調査旅費を配分していた。しかし、交付額の減額変更の可能性があるという通達を受けて、夏期に行う計画であった海外調査の多くを断念し、国内での実践研究に重点をシフトしたという事情がある。このため、23年中に終了する予定であった海外調査の大部分が次年度に持ち越された。
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今後の研究の推進方策 |
交付額の減額変更の可能性があるという通達を受けて、夏期に行う計画であった海外調査の多くを断念した。このため、次年度に使用する予定の研究費が生じている。23年中に終了する予定であった海外調査の多くを次年度に行うとともに、24年度に計画していた内容のうち、コミュニケーション力のアセスメント技法の整備を25年度に移す計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度実施予定であった海外事例調査を夏期~秋期に行う。それと並行して、24年度計画としていた教育モジュール開発を行っていく。本研究では、コミュニケーション教育の内容を、身体・感情、認知・言語、メディア・ICT、社会・文化の4領域に分けたうえで、基本的技能(コア・コンピテンシー)、批判的態度と技能(クリティカル・コンピテンシー)、共生への態度と技能(ケアリング・コンピテンシー)の3水準に整理している。各研究分担者は1領域3水準を担当し、担当授業の一部や関心ある学生グループにおいて試行と評価を行っていく。 したがって、主たる研究費は旅費となり、それ以外はほぼ物品費として使用する計画である。
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