研究課題/領域番号 |
23501111
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山地 弘起 長崎大学, 大学教育機能開発センター, 教授 (10220360)
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研究分担者 |
保崎 則雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70221562)
三隅 友子 徳島大学, 国際センター, 教授 (20325244)
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キーワード | 国際情報交換 / アメリカ:ドイツ / コミュニケーション教育 / 高等教育 / カリキュラム |
研究概要 |
本研究は、21世紀型ジェネリックスキルの中核となるコミュニケーション力に焦点をあて、コミュニケーション学と学習科学の知見に基づいて、大学のコミュニケーション教育の変革に資することを目的としている。平成24年度は、本研究が雛形としている4領域・3水準のコミュニケーション教育のモデルに対応させて、最低限必要な教育モジュールの開発を試みた。4領域とは、身体・感情、認知・言語、メディア・ICT、社会・文化の各領域を指し、3水準とは基本的技能(コア・コンピテンシー)、批判的態度と技能(クリティカル・コンピテンシー)、共生への態度と技能(ケアリング・コンピテンシー)の各水準を指す。 各研究分担者は1領域3水準を担当し、担当授業の一部や関心ある学生グループにおいて試行と評価を行った。とくに身体・感情の領域に関しては、米国身体心理療法学会や欧州身体心理療法学会で海外の身体心理教育の現況を把握するとともに、長崎大学における身体関係論の半期授業及び早稲田大学における身体コミュニケーションの遠隔授業を試行した。また認知・言語の領域に関して、欧州特にドイツにおいてコミュニケーション能力を目指した日本語教育を実施しているベルリン日独センターと国際交流基金ケルン文化会館を訪問調査するとともに、徳島大学において留学生及び日本人学生のための異文化コミュニケーション及び日本語の各科目を改善し、より総合的な「コミュニケーション研修」「人間関係論」等を社会教育と連携させて実施した。「メディア・ICT」領域の早稲田大学での授業改善、「社会・文化」領域の十文字学園女子大学での授業改善と併せ、今年度の研究成果は年度末の京都大学での大学教育研究フォーラムで報告し、他大学の一般教員からフィードバックを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に国内外の大学におけるコミュニケーション教育の現状把握と課題抽出を目指したが、交付額の減額変更の可能性があるという通達を受けて、夏期に行う計画であった海外調査の多くを断念し、国内での実践研究に重点をシフトしたという事情がある。このため、23年中に終了する予定であった海外調査の大部分が24年度に持ち越され、24年度に計画していたコミュニケーション能力のアセスメント枠組の検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、ここまで部分的に開発されてきたコミュニケーション教育モジュールをまとめ、総合的カリキュラムの開発に取り組む。研究代表者の所属大学における学習コミュニティ「コミュニケーション実践学」に研究分担者が関与しながらアクションリサーチを行う計画である。その過程で、コミュニケーション技能向上のための学内支援組織や既存の関連科目との連携のあり方も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度分の研究計画の遅れから、当初24年度に計画していたコミュニケーション力のアセスメント技法の整備が遅れたため、次年度繰越の研究費が生じている。25年度にこれを実現しながら、上記総合的カリキュラムの開発と試行・評価を進める。そのため、研究費は授業開発にかかる調査旅費・物品購入費と学会発表関係費がおもな使途となる。
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