研究課題/領域番号 |
23501112
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
齋藤 裕 青山学院大学, 情報科学研究センター, 助教 (10316888)
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研究分担者 |
石川 浩一郎 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (00468547)
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キーワード | 学習支援 / メンタリング / eラーニング |
研究概要 |
本研究は、学習支援活動の平準化、eメンタ1人あたりの負荷軽減のために、組織的学習支援活動のモデル化と支援システムを開発、評価することを目的としている。モデル化およびシステム開発をするためには、1、eメンタが実際に活動した際のログをSECIモデルの観点からの分析、2、eメンタに対するヒアリングによるSECIモデルの各フェーズの展開状況の調査、3、これらの調査結果からの従来の学習支援方法によるSECIモデルとのマッチング、4、1から3の結果を踏まえた、SECIモデル表出化・結合化フェーズの支援システムの要件定義に関する研究が必要となる。 これら各研究分野において平成24年度は次のような成果を残した。 第一の成果として、eメンタの学習支援活動のSECIモデル全体(表出化フェーズ・結合化フェーズ・内面化フェーズ・共同化フェーズ)のモデル化したうえで、支援システムの設計を行った。 第二の成果として、支援システムの機能について、機能開発を行い、開発した機能のうち、表出化フェーズ・結合化フェーズの支援にかかわる機能に関する形成的評価を現役のeメンタも交えて行った。さらに改善点についても現役のeメンタと意見交換を行い、方向性を導きだした。 第三の成果として、これまでの成果の一部について、国内外の学会にて報告を行った。 平成25年度はこれらの結果を踏まえ、内面化フェーズ・共同化フェーズの支援システムの評価・改善および表出化フェーズ・結合化フェーズの支援システムに関する改善を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度研究計画で予定されていた研究項目は、1)eメンタの学習支援活動のSECIモデル全体(表出化フェーズ・結合化フェーズ・内面化フェーズ・共同化フェーズ)のモデル化および支援システムの設計・開発、2)開発した支援システムのうち、表出化フェーズおよび結合化フェーズの活動に対する支援を行う機能の評価である。 平成24年度の研究項目のうち、1)については、これまでの研究を踏まえ、仮説となるモデル化を行い、そのうえで、支援システムの設計を行い、機能開発を行った。結果、SECIモデルの書くフェーズを可視化するための支援機能(特にこれまで可視化が全く行われてこなかった受動的支援・能動的支援の具体的アクションに関する可視化を行う機能)と受動的支援・能動的支援の暗黙知を形式知とするための支援機能などを開発した。2)については、現役のeメンタを交えて、開発した機能に関する形成的評価を行った。その結果、各フェーズのeメンタの学習支援に関する可視化方法や、暗黙知を形式知へとする際の知識のデータベースの構造やその表現方法について、改善の方向性を導きだすこととなった。 全体的には研究計画通りに研究課題に取り組んでおり、期間全体からみるに、おおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究計画では、平成25年度は1)e メンタの学習支援活動の形式知から暗黙知の変換(内面化)フェーズおよび暗黙知から 暗黙知の変換(共同化)フェーズの検討(モデルの確立および支援システム要件定義、システム構築・評価・改善)、2)成果の発表と総括であった。 平成24年度に研究を遂行した結果、おおむね順調に計画は進行しているため、従来の計画通り内面化フェーズおよび共同化フェーズにおいて開発した機能の評価を行う。 評価を行うに当たっては、eメンタを被験者とした実証実験(eメンタが組織的な学習支援を行う実験)を行う予定である。 さらにeメンタの学習支援活動のSECIモデル全体のモデル化の評価および支援システムの評価を行い、必要に応じて修正・改善を行う。 また、これらの研究成果について、国内外の学会等において、研究発表を行う予定である。さらに、国内外の学会等へ出席することによって、最新のeラーニングおける学習支援の動向に関する調査を行い、これらの結果をモデル化や支援システムの改善に反映させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、研究期間全体にわたり、教育工学、情報工学、教育心理学、コミュニケーション学、プロジェクトマネジメント(PM)、ナレッジマネジメント(KM)とさまざまな視点から調査を行い、開発を経て、分析を実施し、研究成果を出していく。平成25年度の研究費の使用計画は下記の通りである。 1)平成24年度までの研究成果を踏まえ、平成25年度は組織的学習支援のための支援システムの評価・改善を行う。具体的には、構築したデータベースの改善、組織的な学習支援活動のモデルそのものを支援する機能(開発した学習支援活動をすべて可視化する機能や共有する機能など)の改善を行う。開発の一部が専門企業に開発を依頼するため、費目「その他」での支出を予定ている。 2)支援システム改善のため必要なソフトウェアならびに各ソフトウェア・ハードウェアのメンテナンス製品が必要となる。これらについて物品費での支出を予定している。 3)支援システムの機能の評価を行うため、2名のe メンタが被験者となる実証実験を少なくとも1回実施する。そのため、謝金が発生する。これらについて人件費・謝金での支出を予定している。 4)さらに最新のeラーニングの学習支援に関する研究成果なども随時改善に取り入れるための調査や、研究成果の論文・国内学会発表ならびに研究遂行のための打ち合わせ等も度々行われるため、会議費や研究発表に関係する旅費なども必要となる。
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