研究課題/領域番号 |
23501121
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
横山 宏 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 准教授 (20249452)
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研究分担者 |
松永 公廣 摂南大学, 経営学部, 教授 (20099831)
正木 幸子 大阪商業大学, 経済学部, 教授 (30249445)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学習者特性の把握手法 / 授業デザイン / 教育力育成 / ナビゲーション戦略 / 大学教育 |
研究概要 |
H23年度の目標は、学習者の「気分、授業へ参加意識、授業への準備、授業への期待など」の状態を把握する受講者自己評価シートを開発し、それを用いたプレ調査を実施し、本シートによる学習者状態の把握の実践性を確認し、評価するものである。 具体的な成果としては、筆者らの先行研究で開発済みの教員視点からの調査シート「授業における体調・やる気・満足度の自己評価」を改良した。これに加えて、今日のユニバーサルアクセス時代の学習者状況を踏まえて、「学生の考える学生が教員に伝えたいこと」に重きを置いた「学生視点」から導き出した6つ質問項目(気分,授業への参加意識,授業への準備と結果,授業への期待と結果,授業内容に対する満足度,座席位置と選択の理由)を用いて、「授業への気分・準備調査シート」を開発した。 特に「授業への気分・準備調査シート」では、授業形態や学習環境などの使用状況に応じて使い分けを可能にするために、記入内容別に3つのタイプ(「予復型」,「手段型」,「回顧型」)と,データ読み取り別に2つの記入形式(「番号記入形式」,「マークシート形式」)を考案した。記入内容別の3つタイプは,(1)授業への準備内容が単に「予習または復習をしたのか」、(2)準備手段に何を用いたのか、(3)準備の内容については触れず、準備の有用性についてどうだったのか(準備が役立ったかどうかなど)である。 これらの2種類のシートを3大学10科目で使用しデータを取得した。現在は、それらのデータの分析結果を評価検討中である。なお、プレ分析手法として、「学生個々の授業参加意識の遷移タイプを用いた学習者特性の把握手法」の研究も同時並行で行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の計画とした「学習者の授業時の状態を把握する要因調査・シート開発・プレ授業実践・プレ分析手法」は、達成した。また、プレ分析手法の成果報告を年度内に行なった。
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今後の研究の推進方策 |
改良した「授業における体調・やる気・満足度の自己評価」と、新たに開発した「授業への気分・準備調査シート」の授業使用で得られたH23年度のデータの分析結果から、把握した学習者の状態を、PDCAサイクルのごとく、H24年度の授業デザインとして、学習者の授業時の状態を、次の回の授業デザインに取り込む方法を定め、授業実践を行ない、それら取り込みの効果を確認する。 具体的なPDCAサイクルでは、セルフ・ナビゲーションシート(担当教員による学習者の反応をいろいろ想定した授業方針)、リフレクションシート(「授業への気分・準備調査シート」から担当教員が学習者の状態を把握し、それらを用いた授業の振り返り)、ナビゲーションシート(ベテラン教員による内容の不足や偏りがないかなどを検討し適切な指導)の仕組みを確立し、授業デザインへの効果を測定し評価する。 それらの結果を整理し、論文に投稿するとともに、代表者と分担者らが所属する研究団体等の協力を得て、大学での教育関係者を招き、公開で研究討論会を行ない、実践性の評価を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
授業実践で得られるデータの分析評価を行なう。大学での教育関係者を招き、公開で研究討論会を行なう。また、複数の教育系学会にも研究論文を投稿し、その評価を得て、教育手法の強化を行なう。これらの活動に、物品費、旅費、人件費・謝金、その他の経費をあてる。また、調査実施と結果整理には、大学院生や学部学生のアルバイトを使う。
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