研究課題/領域番号 |
23501122
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
越智 洋司 近畿大学, 理工学部, 講師 (80314847)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育工学 / 動画像認識 / 教育情報システム / 教育・学習支援 / インタフェース |
研究概要 |
学習・教育情報検出の対象となる諸問題の調査と適用モデルの検討については、動画像解析処理が適用可能な教育環境として、現在までに行なってきたカメラ制御の研究、デスクトップ動画像処理のためのプレゼンテーション支援の研究について再検討を行い、カメラだけを利用する従来の枠組みでは精度上の問題が見えてきたため、他の関連技術を併用するモデルの必要性が明らかになった。これらは国際会議にて発表報告している。また、それと並行して、Microsoft社のKinectセンサーを利用したアプリケーションとタブレット端末での画像処理・解析技術の応用について検討し、これらが本課題での対象領域の1つとして挙がってきた。 動画像解析技術に関する調査については、Microsoft社のKinectセンサーを購入し、その利用方法についてプロトタイプシステムを開発しながらノウハウを蓄積した。またHI学会主催の質的分析セミナーに参加し、動画像解析の際の質的な評価手法を調査した。 ベースシステムの設計と開発については、高精細な画像情報を扱えるネットワークカメラを購入し、その制御方法の調査を行った。そして開発用コンピュータを購入し、現在までに開発してきたシステムについて学習・教育情報検出技術を適用可能な形式にするための改良と移植を進めた。また、Kinectやタブレット端末を活用したベースシステムを新たに開発し、国内での学会発表にてデモなど通してそのニーズが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育環境における学習・教育情報検出モデルの提案については、現在までに行なってきたカメラ制御と画像処理技術を応用したプレゼン支援ツールの対象の他に、動画像解析技術を適用するにふさわしい教育上の諸問題として、タブレット端末を利用した画像認識やKinectを利用した身体情報を活用など、様々な支援モデルを検討することができた。そして、プロトタイプの実装を通して、教育システムとしての実現可能性にも考察することができた。 学習・教育情報抽出のための動画像解析技術の開発については、従来の手法では有用性に問題があることがわかったので、各種デバイスの利用により解決することを検討している。その1つとしてKinectセンサーを利用した動画像処理方法について目処がたった。しかし、教室内といった場を考慮した動画像処理については、実装方法の検討と試作が遅れているため、今後検討しつつ、先行研究の調査を進めて動画像解析の独自実装を目指しその技術的基盤を確立したい。 学習・教育情報検出技術を応用した教育支援システムの開発と動作検証については、現在までに研究開発してきたシステムの移植と動作検証について国際会議で報告し、有用性についての問題とその必要性が明らかになった。また、新たにKincectセンサーやタブレット端末を利用したプロトタイプシステムを実装し評価実験をできたので、これらの成果を元に研究を継続する目処がたった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの成果を元にしながら動画像解析による学習・教育情報の検出方法の多様化と、動画像解析による学習・教育支援が適用可能な対象領域の選定と支援モデルの構築、システム実装をすすめていく。動画像処理の実装についてはモジュール化を意識して行い、様々な領域やシステムへの適用が可能な形にすすめていく。システムの実装プラットフォームについては、様々なデバイスの利用も含めた応用を検討する。また、情報検出の精度を挙げるために、複数台のカメラに拡張して解析技術を適用するだけなく、動画像以外のメディアや媒体を組み合わせることで、システムの有用性を高める方向に進むことを検討している。映像データの保存については、情報保護を目的に暗号化処理を含めたデータ管理方法を設定・実装する。動画像解析技術については、まだ調査が必要なところもあるため、システム実装と並行してセミナーなどに参加する予定である。研究成果については、国内学会、国際会議だけでなく学会誌への投稿を行なう予定である。また、開発したシステムのモジュールは一部インターネットにて公開することを視野にいれる。
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次年度の研究費の使用計画 |
・動画像から抽出される各種データは膨大な量になることから、それらを解析するための解析サーバPCを購入し研究室内に設置する。・モバイル端末の利用も検討しているため、各種モバイル機器の購入とそのモバイル端末用アプリを開発するための開発用PCについても購入する。・Kinectセンターの実用性が比較的高いので、複数台利用した動画像処理との連携が可能な各種センサーの購入も計画している。・研究成果の報告については、国内会議、国際会議、学会論文誌への投稿を検討しており、その投稿料・出張費として、本予算を執行する予定である。
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