• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

はり師・きゅう師における多施設共用臨床実習前評価のための客観的臨床能力試験の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23501123
研究機関森ノ宮医療大学

研究代表者

鍋田 智之  森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (00597817)

研究分担者 小島 賢久  森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (40454681)
江川 雅人  明治国際医療大学, 鍼灸学部, 教授 (90223635)
鍋田 理恵  関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (60249464)
野口 栄太郎  筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (80218297)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード客観的臨床能力試験 / 鍼 / 灸
研究概要

本研究の目的は、はり師・きゅう師を養成する教育カリキュラムとして、臨床実習前に客観的に評価する共用システムとしてOSCEを開発することにある。一部の養成校においては2000年代初頭より独自のOSCEの取り組みは認められるが、一致性は低い。平成23年度の当初計画として、OSCE実施校へ外部評価者の導入を依頼し、実態を調査する予定であったが、受け入れが難しいことが見込まれた。よって、研究者が作成した医療面接、鍼実技、灸実技の試験映像を全国の養成校に送付し、映像を視聴して評価することで現状を把握することとした。 163校に依頼し、85校(53.5% 専門学校30校100名、大学7校28名、盲学校34校110名)より返信を得た。評価者238名の平均年齢、教員歴に差は認められなかった。医療面接では専門学校(78.5±9.4点)、大学(83.4±9.7点)、盲学校(79.9±10.0点)間で差は認められなかった。鍼実技では大学(78.0±18.7点)・盲学校(72.5±15.9点)と比較して専門学校(61.9±15.0点)で、治療態度、リスク対策、手技の全てのカテゴリーで有意に評価が低かった。特にリスク対策が顕著で、専門学校と比較して大学(P<0.0001)、盲学校(P<0.01)ともに有意差があり、専門学校の評価が低かった。灸実技では、手技において専門学校の評価が有意に低かった。 本結果から、はり師・きゅう師養成校間で実技評価について統一された見解を有していないことが明らかとなった。これは多施設間で共用可能な評価の検討が難しいことを意味している。その一方で、評価項目別に検討すると差異の少ない項目もある。今後は出来るだけ多くの教育担当者の意見を聴取して問題点の抽出にあたる。これらの問題点を整理して共用評価を作成することは質の高い医療人を育成するうえで不可欠と考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的として掲げている多施設間で共用可能な臨床実習前OSCEの開発には、現在実施されている養成校単位でのOSCEの現状を把握する必要がある。しかし、数校の現状を現地調査しても全体像を把握することは難しい。今回実施した映像視聴による模擬評価では、養成校の半数を超える施設から回答が得られ、200名を超える教育担当者の評価を得ることができた。これにより教育とその評価が施設間で異なることを実数値として明らかにしたのは意義がある。 今後はカテゴリーおよび項目別の相違を詳細に明らかにするとともに、より多くの教育担当者にも参加を仰ぐことで臨床実習前の到達目標を形成し、これに準じた評価基準によって構成されるOSCEを作成できると考える。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、23年度の調査結果を報告するための報告会を開催する。毎年夏季に開催される「鍼灸の研究と教育に関するワークショップ」(24年度大阪開催)にて会議を構成する。全国の養成校に案内を送付し、50名規模で多くの教育担当者の参加を促す。報告会では23年度の結果報告とともに各校での臨床実習前評価の現状について報告を依頼する。また、グループワークとして「臨床実習前の到達目標」「臨床実習前の評価項目と基準」についてディスカッションを行う。これらの結果を統合して新たなモデルOSCEを計画する。 計画されたモデルOSCEは平成25年2月に研究分担者所属校(森ノ宮医療大学、関西医療大学、明治国際医療大学、筑波技術大学)にて実施する。ここでは評価者間、受験者間、標準模擬患者間との相違について検討し、その結果を持って修正を行う。 平成25年度は修正されたモデルOSCEを夏季に実施し、本グループとしての見解をまとめる。その際、全ての養成校での共用を目的としたOSCEのデザインに加えて、高度教育機関である大学に求められる基準を加える。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は23年度の繰越金のうち20万円を報告会の会場経費とする。研究主担当者と異なる施設に所属する研究分担者には15万円(総額45万円)を分担金として預ける。同一施設の研究分担者には5万円を預ける。各分担者は報告会および2回予定される会議の経費を支出する。各施設で実施されるモデルOSCEには分担金より各10万円を充てる。内訳は標準模擬患者謝金、OSCE参加学生への謝金、OSCE運営費である。各校でのモデルOSCEはビデオ撮影を行い事後に再評価を行うため、撮影機材を購入していない分担者には購入を依頼する。各校に派遣される外部評価者(1回3名)および標準模擬患者(1名)の経費は研究主担当者が支出する。1施設への移動経費は10万円(総額40万円)を予定している。2回の会議経費として10万円を予定している。残額として約16万円が残るが、評価者の移動経費の予備費、文献検索費、データ入力の謝金、複写費として充てる。

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi