研究課題/領域番号 |
23501124
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
奥村 英樹 四国大学, 生活科学部, 教授 (80233477)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | AR / 拡張現実 / 教材開発 / 板書 / システム開発 |
研究概要 |
平成23年度は、現時点の一般の学校において実践可能なAR技術を利用した、板書内容の拡張表現の方法について、検討・開発を行った。学校教育で利用可能な環境として、通常の黒板に加えて、タブレットPCと電子黒板の利用を想定している。その結果、教材の開発には、拡張表示の位置の指定とモデルの提示のしやすさから、マーカーを用いた方式を採用することとし、板書の機能と役割、ARを含めた提示媒体の特徴を分析し、授業においてARが効果的に利用可能な場面の特定を行った。 板書を拡張する教育的な表現を検討する例として、今回は5つの教材を開発し、提案している。ここで実現した教材は全て、8センチ四方に描かれたマーカーを、必要に応じて黒板に貼り付ける方法をとっている。学習者は、タブレットPCを用いて板書を見ることで、拡張された表現が閲覧する。 開発した教材は次の5つである。【平面画像】平面画像を提示し、その内容を読み取らせる授業を想定して作成した。教員が紙を貼り替えることなしに、学習者が必要に応じて画像を入れ替え、より多くの情報を読み取ることが可能となっている。【3Dモデル】骨格標本や動物などを比較的大きな立体で提示することで、教材内容の立体的な特徴やスケール感を実感しやすくしている。【記号の置き換え】マーカーに元素記号などを採用することにより、黒板上の記号と実物の置き換えを学習者が行えるようにした。【モデル図のアニメーション】回路図などのモデル図を、立体のアニメーションで提示することにより、モデル図の内容のイメージ化を促すようにした。【簡易シミュレーション】黒板に書かれた文字や図形の上に重ねて、学習者がシミュレーション操作できるようにした。 本研究により、現時点の一般化された技術でもARによる板書表現の拡張が教育的にもある程度の効果を期待できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度より四国大学で大学改革として大幅な組織改造が行なわれたが、学科の副主任業務としての事務作業に、申請時に想定した以上の時間をとられたため。また、教材開発においては3DのCGモデルの製作が不可欠であるが、製作にあたって柔軟に対応可能な協力者が見つからなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、1)平成23年度に提案した教材例をもとにしたAR教材の製作、2)授業での模擬的な利用と効果の検討、3)電子黒板を利用した提示例の開発と授業案の検討を行う予定である。平成25年度は、1)それまで提案してきたAR教材の利用例と授業案の開発と実践の継続、2)それらを利用した教育方法の整理、3)成果を広めるためのテキストの製作を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)AR教材の製作については、授業で利用可能な3DのCGモデルを、外部協力者に依頼して製作する予定である。また、製作に必要な素材や技術的情報の入手も必要と考える。2)授業での模擬的な利用については、大学の授業での利用を中心として、実践例を増やす予定である。そのため、学習者が利用する閲覧用のスレートPCの拡充が必要となる。3)電子黒板を利用した提示例と授業案の検討については、3Dモデルの提示をスレートPC側に、マーカーの表示/消去や移動操作を電子黒板側に分離することで、AR教材の新たな提示方法を検討するものである。電子黒板側の操作・管理のための簡易オーサリングを用意することが必要となる。
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