研究課題/領域番号 |
23501131
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
西尾 由里 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20455059)
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研究分担者 |
都築 雅子 中京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00227448)
猪井 新一 茨城大学, 教育学部, 教授 (80254887)
米倉 達広 茨城大学, 工学部, 教授 (70240372)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | e-ラーニング / 小学校英語 / 英語発音 / 正確さ / 国際英語 |
研究概要 |
本研究の目的は、小学校教員の英語発音トレーニングのためのマルチメディア教材の開発とその効果の検証である。研究背景としては、2011年から小学校の外国語活動が必修になっているが、小学校教員の8割が「英語の発音が出来ない」ことに不安を感じ「発音訓練」の要請が高かった(ベネッセの調査)ということにある。教員は生徒の英語指導を行う際、まず教授対象である小学5・6年生の発音の問題点とさらに教員自身の発音の問題点を熟知している必要がある。その問題点とは、どのような発音が困難であるか(習得困難度)、それらがコミュニケーションに影響を与えるか(中心特性)である。 本研究では、その習得困難度(発音が困難である音声特徴)と中心特性(コミュニケーションの阻害要因となる音声特徴)の2つの視点を取り入れた小学校教員に対する英語発音向上マルチメディア教材の開発とその効果を検証する。さらに、教材の普及のためワークショップを実施する。 H23年は、音声の習得困難度と中心特性に関する先行研究を調べ、教授対象である小学5・6年生と小学校教員の英語発音から習得困難度と中心特性となる音声特徴を明らかにするための実験準備を行った。具体的には、先行研究の分析整理、小学校の実態調査、および、発音実験用単語・文章の選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)既存の音声教材・音声マルチメディア教材・先行研究の分析・整理を行い、(2)小学校での聞き取り調査の先行研究を分析し、発音に関してどのような問題点を抱えているかをまとめた。(3)英単語・文章を『英語ノート』(文部科学省制作)と、中学検定教科書『NEW HORIZON』(東京書籍)から、先行研究を踏まえ習得困難でかつ中心特性として予測される音声特徴を含み、またコミュニケーション活動によく使われるような語彙・文章を選定した。 発音実験および聞き取り実験の準備を行った。発音実験では、小学教員から英語発音を採取し、まず、(2)発音困難な音声特徴を洗い出し(習得困難度)、次に、(3)コミュニケーションの障害となる音声特徴を明らかにし(中心特性)、(4)(2)と(3)の結果から、[l]・[r]などの子音や母音、ストレス、リズム、イントネーションなどの音声特徴のうち、学習優先順位を決める。Nishio・Tsuzuki (2008)、Tsuzuki・Nishio (2009) の実験を参考にする。次に、聞き取り実験では、どのような音声特性が聞き取りに影響するのかの実験を行う準備をした。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に実験準備を行い、平成24年5月・6月に聞き取りと発音実験を実施する。その実験結果を基にして、教員発音向上マルチメディア教材を制作し、効果を検証する。 実験手順は次のとおりである。(1)小学校教員に実験用に選定した単語および英文を発音してもらう。(2)英語母語話者による聞き取り実験を行う。単語・英文を聞かせ、英語母語話者の発音に近いかという観点から評定する(習得困難度の順位を確定)。(3)英語母語話者による書き取り実験を行う。単語・英文を聞かせ、内容が分かるかという観点で、書き取りを行う(中心特性の順位を確定)。(4)分析:(2)と(3)の評価に加え、音響分析を行い分節レベルと超分節レベルの優先順位を確定する。 教員用発音向上マルチメディア教材制作は次のとおりである。(1)音声、文字、発音者の顔のビデオ撮影などのコンテンツを作成。(2)オーサリングツールを使い、コンテンツを入れ込む。(3)動作確認を行う。(4)パイロット実験―小学校教員25名に使用してもらい、効果の検証。(5)変更点・改良点があれば修正し、完成版を作成する。 最後に、マルチメディア教材の効果測定する。(1)プレテストとして、特定の英単語及び文章を読んでもらう。(2)マルチメディア教材を学習する。(3)プレテストと同じポストテストを行う。(4)アンケートを行う(教材の使いやすさなどのユーザビリティを問う)。(5)分析:プレ・ポストテストデータの聞き取り分析及び音響分析を行い、さらにアンケート結果を分析し、マルチメディア教材の学習効果を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に製作したマルチメディア教材を普及するために小学校教員を対象にワークショップを行う。まず、ワークショップの準備(2か所:茨城大学水戸キャンパスCALL教室、 茨城大学付属小学校CALL教室、各定員50名)、(1)会場や人手の手配、(2)配布用教材資料の作成、(3)地域の教育委員会・小学校・教員への案内配布、(4)新聞社・地域のミニコミ誌等への広報を行う。ワークショップ実施し、アンケートを行う(教材の使いやすさなどのユーザビリティとワークショップの感想を問う)。 平成25年度後半は、(1)報告書をまとめる、(2) 学会発表や論文にまとめる、(3) ワークショップ参加者への報告書作成しフィードバックをする。さらに、平成23年度から25年度までで得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行うとともに、マルチメディア教材をインターネット上に公開する。
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