研究課題/領域番号 |
23501138
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
西谷 まり 一橋大学, 国際教育センター, 准教授 (80281004)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 不安 / 日本語教師 / 非母語話者 |
研究概要 |
2011年9月、フィリピンのマニラでフィリピン人日本語教師を対象に調査を行った結果、自分自身の日本語能力及び日本語教育能力に不安を抱いていることが明らかになった。教師たちが感じる不安は、主に自分自身の日本語能力であり、経験が長くなれば日本語指導力についての不安は軽減してくる部分もある一方で、日本語能力については経験が長い教師のほうが新人教師よりも不安が高いことが分かった。2011年10月から2012年1月にかけて、非母語話者日本語教師志望者の不安が、教育実習の前後でどのように変化するかについて調査を行った。その結果、日本語力不安、教授能力不安ともに実習経験後に低下していることが明らかになった。特に、教授能力については有意に低下した。また自由記述の分析から、以下の4点が明らかになった。(1)非母語話者日本語教師は学習者としての経験を授業に生かせると認識していたが、実習後にその点について触れた記述はなかった。(2)準備に時間をかけ、教案を練り上げる重要性とともに、教案にとらわれない臨機応変の対応の重要性を認識した。(3)学習者とのコミュニケーションの成否が、いい授業につながるという認識をもつようになった。(4)何を教えたいかではなく、学習者は何を学びたいかという視点が実習前にはほとんどなかったのが、実習を通じて学習者視点が芽生えた。この結果から、自分自身の日本語能力の不安より、日本語教授能力に関する不安のほうが軽減しやすい。日本語能力に関する不安は解釈を変えて日本語学習の原動力につなげることが可能ではないか、教授能力については、知識よりも学習者とのコミュニケーションを中心に指導することで不安を軽減することが可能ではないかという仮説をたてた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、不安及び不安の解釈の調査項目確定のための先行研究調査及び予備調査を行うと記載した。日本人ベテラン教師・新人教師・教師志望者及び非母語話者ベテラン教師・新人教師・教師志望者を対象に、対面及びメール調査を行い、日本語教育を行ううえで(特に教室場面)、どんなことを不安に感じている、または感じていたか、それをどのように克服したか、また克服できないか等を中心に調査するということであった。非母語話者ベテラン教師、新人教師・教師志望者に対する調査は行ったが、日本人に関しては2012年度に調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
非母語話者日本語教師について、教師志望者、教授経験の浅い教師と長い教師を対象に不安の構造を明らかにし、教師教育及び現職教師の再教育場面で、どのような働きかけを行うのが有効であるかを検証する。日本人被調査者への依頼も今のところ順調に進んでおり、非母語話者と比較対象をするために、日本人教師・教師志望者に対する調査を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用金額の489,837円は海外調査について、相手方との日程調整が不調に終わったために、生じたものであり、2012年8月と9月に調査に行く手はずがととのっている。調査は中国とベトナムで教師を対象に行い、比較の対象として日本人教師に対する調査も行う。2012年度は調査方法としてPAC分析の手法を取り入れ、量的調査と質的調査を組み合わせて不安の構造を明らかにする。
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