• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

研究活動スキルの共有・継承・学習を支援するSNSに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23501141
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

長谷川 忍  北陸先端科学技術大学院大学, 大学院教育イニシアティブセンター, 准教授 (30345665)

キーワード研究活動スキル / 学習環境 / スキル共有 / スキル継承 / スキル学習 / SNS
研究概要

平成23年度に開発した研究活動支援SNSのプロトタイプの運用を通じて,研究コミュニティ内で論文ファイルおよびプレゼンテーションファイルをその修正過程に関するコメント情報とともに収集・蓄積した.加えて,研究活動における進捗状況や意味的構造を表現したメタデータを付与できるように拡張した.さらに,ここで付与されたコメント情報およびメタデータに対して相関ルールに基づくデータマイニングを適用することにより,研究コミュニティにおける典型的な進捗状況や意味的構造を表現するスキーマを,研究コミュニティにおける重要度の高い経験情報として抽出する機能を開発した.さらに,研究コミュニティの構成員に研究活動スキルに関するエントリをアクティビティおよびトピック単位でWiki形式により編集する機能を実装する機能を開発し,プロトタイプSNSに組み込む形で運用を行った.研究活動スキルは大きく4つに分類されており,それぞれの項目に対し達成度合いの判断基準となるルーブリックを設定することによって,構成員が自分自身のスキルを自己評価することが可能となった.こうした自己評価は,「対外発表」や「学位論文執筆」などといった研究活動におけるマイルストーン毎に集約され,時系列およびレーダチャートの形式で可視化することにより,研究コミュニティの構成員間でピアレビューを行うことができる.なお,コメント情報やメタデータに関するデータマイニングに当たっては,利用者の特定につながる情報は削除する形で実施した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,研究コミュニティによる研究活動で創発されるインフォーマルな経験情報を研究活動スキルであると捉え,新たに研究コミュニティに配属される研究初学者が研究活動スキルを学習する過程を支援するためのSNS(Social Networking Service)を開発することである.
これまでに開発した機能を随時プロトタイプSNSに組み込みながら,研究コミュニティで実際に運用を行なうことを通じて,研究発表で利用する論文およびプレゼンテーションの修正過程に関するコメントやメタデータを分析し,研究コミュニティにおける典型的な可視化することが可能となっている.こうした活動を実践的に行うことで,研究コミュニティにおいて従来暗黙的に継承されてきたインフォーマルな経験情報が,一種の研究活動スキルとして再構成され,新たなコミュニティの構成員に対しても共有・継承できるインフラとして活用されはじめている.このことは,一般にコミュニケーションツールとして活用されているSNSに対して,研究コミュニティで共有・継承されるべき経験的情報をコミュニティキャピタル(コミュニティの資産)として位置づけ,その価値を持続・増大させる支援機能を提供できているという点において2年目における研究目的を概ね達成できていると判断できる.

今後の研究の推進方策

平成23年度より継続して取得している経験情報を利用して,研究コミュニティにおける研究活動過程の変化について分析する.また,研究活動促進の観点から,研究活動活性化に対する効果について評価する.さらに,システムのユーザビリティ及びセキュリティ評価等,運用に必要不可欠な要素についても評価・改善を行う.
特にユーザビリティの観点から,映像情報・音声情報・タブレット型PC活用による手書き文字情報などの活用についての改善を行う.これまでは主にテキスト情報として論文やプレゼンテーションの修正過程を取り扱ってきたが,情報入力を簡便に行うためには上記の情報も合わせて取り扱うことが必要不可欠であると思われるためである. 次年度使用額については主にタブレット型PCの導入を想定している.
加えて,研究代表者が開発を行っているプレゼンテーションモバイルレビューシステム,プレゼンテーションスキルアップ支援,論文添削支援システムなどといった,研究活動支援機能を統合して研究活動全般を対象とした研究活動支援SNSを構築する.

次年度の研究費の使用計画

物品費としては,今後の研究の推進方策で述べた通り,タブレット型PC活用による情報入力機能の拡張を想定していることから,次年度使用額を利用して運用で活用するためのタブレットPCの導入を予定している.
また,最終年度であることから,成果の発表が中心となるため,残りの大部分の研究費を旅費として活用することとし,国際会議での発表,論文誌への投稿などを予定している.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] An Extraction Technique for Presentation Schema embedded in Presentation Document2012

    • 著者名/発表者名
      Shinobu Hasegawa & Akihiro Kashihara
    • 学会等名
      20th International Conference on Computers in Education (ICCE2012)
    • 発表場所
      Singapore
    • 年月日
      20121126-20121130
  • [学会発表] Schema-based Scaffolding for Creating Presentation Documents2012

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Shibata, Akihiro Kashihara, & Shinobu Hasegawa
    • 学会等名
      20th International Conference on Computers in Education (ICCE2012)
    • 発表場所
      Singapore
    • 年月日
      20121126-20121130
  • [学会発表] Scaffolding with Schema for Creating Presentation Documents and Its Evaluation2012

    • 著者名/発表者名
      Yasuo SHIBATA, Akihiro KASHIHARA, and Shinobu HASEGAWA
    • 学会等名
      World Conference on E-Learning in Corporate, Government, Healthcare, and Higher Education 2012
    • 発表場所
      Las Vegas
    • 年月日
      20121021-20121025
  • [学会発表] プレゼンテーションドキュメントにおけるメタデータ推定手法の改良に関する検討

    • 著者名/発表者名
      長谷川忍,柏原昭博
    • 学会等名
      人工知能学会先進的学習科学と工学研究会
    • 発表場所
      京都
  • [学会発表] プレゼンテーションドキュメントの意味的構造作成支援システムの開発

    • 著者名/発表者名
      柴田康生,森中翔太郎,柏原昭博,長谷川忍
    • 学会等名
      教育システム情報学会第34回全国大会
    • 発表場所
      千葉

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi