研究課題/領域番号 |
23501142
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
興戸 律子 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 助教 (00362179)
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研究分担者 |
加藤 直樹 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (30252117)
村瀬 康一郎 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (80150027)
伊藤 宗親 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (10282310)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | eラーンング / 教育システム / 高等教育 / システム分析 / LMS |
研究概要 |
平成23年度の実施計画は、普及過程,採用の意思決定,活用タイプの基礎的分析指標を明らかにするために、(1)全学的教育基盤システムの普及離陸期頃までの普及過程の分析、(2)採用の意思決定過程及びその影響の基礎調査と分析、(3)教育活用タイプの基礎調査と普及支援方策の検討を行うことである。 まず全学的教育基盤システムの利用状況を分析するために、取得したアクセスログから任意のデータを取り出すための学習履歴分析システムを構築した。蓄積している学習履歴は、2006年(平成18年度)後半から2011年(平成23年度)まで6年間を対象に行う予定であるが、アクセスログの総数が1億データを超えるため、年度単位で処理を行うこととした。今年度は、以下の内容を実施した。(1)結果の検証を行うために、平成23年度のデータを対象とし学習履歴分析システムの構築を行った。(2)LMSを利用している人数及び割合を教員、事務、学生の身分、所属、月別に分析し、その利用割合の実態を明らかにした。(3)アクセス数を身分、所属、月、機能別に分析し、LMSの教育活用のタイプを明らかにした。(4)コースの種類によるアクセス数を身分、所属、月、機能別に利用分析を行った。(5)教員が使用しているコース(アクティブコース)を対象に身分、コース所属、月、機能別に分析し、開講コースにおける活用状況を明らかにし、同時に学生がアクセスしたコースを教員と同様に分析し、教員の利用したコースとの差異を明らかにし、学生と教員の利用の実態を明らかにした。(6)利用した時間帯を分析し、身分別の特徴を明らかにした。 以上、これまではアクセス数、コース利用数という全体の利用状況しか得られなかったが、この学習履歴分析システムの構築により、任意の期間、条件における分析を可能にし、今年度行った手法を過去のデータに適用することで利用普及状況を明らかにすることが可能になることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全学的教育基盤システムの普及離陸期頃までの普及過程の分析については、授業での採用を決定する教員の影響が多大であるが,教員の採用決定には学生の普及状況,事務職員の活用状況が影響しているため利用者別にアクセスログを分析し,普及過程を量的に分析し,イノベーションの普及過程に対比した現状を分析する必要があるそのために、学習履歴分析システムを構築し、検証用として平成23年度前期の学習履歴を対象に分析手法を確定するまでに多くの試行を行った結果、過去のデータをすべて加工することはできなかったため、次年度引き続き行う。採用の意思決定過程を「知識」「説得」「決定」「導入」「確立」の5段階を想定した場合の現状を調査する質問項目を検討し,アンケート調査を実施するために、教員、学生を対象に利用状況についてアンケートを実施した。授業場面における積極的なシステム採用者の活用方法を分析し,活用タイプをアクセスログから検討するための基礎的指標を抽出するとともに,普及支援方策をこれらの結果から見直し次年度の具体的方策を計画するために、平成23年度前期データについては、各観点から分析を可能とし、活用状況が明らかになった。とくに特徴ある授業を対象としてその活用方法の分析を試行した。活用タイプ別の利用状況に対する分析は次年度引き続き行うこととする。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、(1)普及過程の継続的分析と要因の検討を行う。平成23年度に構築した学習履歴分析システムを使用し、引き続き平成18年度から22年度までの分析を平成23年度と同様に行う。その結果をもとに6年間の利用推移の分析及び蓄積されたアクセスログの分析により,ロジャーズの普及過程モデルへの適合性を検討し,普及過程モデルを明らかにし、普及過程における特に採用の意思決定に関係する要因を抽出する。(2)採用の意思決定過程に影響する普及支援方策の手がかりを得る。採用の意思決定に関する要因から,これを活性化するための普及支援方策をモデル化して計画する。6年間の利用状況の分析から、大学の施策等をはじめLMSの利用の可否に関する要因を検証し、今後の利用支援の手がかりを得る。(3)活用タイプと採用の意思決定の関係を明らかにする。授業場面における積極的なシステム採用者の活用方法を分析し,活用タイプをアクセスログから検討するための基礎的指標を抽出する。また授業における学習成果目標,受講者数,教育環境等の活用タイプを採用するための条件について,授業担当教員ごとの分析を行い明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、過去の年度ごとの大規模なデータ処理を行うためにパソコンおよびデータ解析ソフトが必要である。また、データを保管するための外付けハードディクス等が必要となる。得られた分析結果データ集作成のための印刷費が必要となる。データ整理のための謝金、学会発表のための旅費等が必要となる。
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