研究課題/領域番号 |
23501142
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
興戸 律子 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 助教 (00362179)
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研究分担者 |
加藤 直樹 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (30252117)
村瀬 康一郎 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (80150027)
伊藤 宗親 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (10282310)
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キーワード | e-ラーニング / 教育システム / システム分析 / 普及過程モデル / 高等教育 |
研究概要 |
平成25年度は、AIMSワーキングによって、教員のAIMS利用に対するさまざまな啓蒙活動が行われてきた。また、情報漏洩を防止する目的で、成績提出を工学部、教育学部で義務付ける等、AIMSの利用を促進する対策が行われた。さらに平成25年前期からは、ポータル画面の変更を行い、簡易なデザインとするなど、教員がAIMSを利用するための施策が行われてきた。その結果、利用教員数は徐々にではあるが、増加していることが明らかになった。 これまでの活用履歴の分析から、普及の初期ではアクセス数は急激に伸びてきていることが示された。しかし、利用した教員割合は4割程度でとどまり、利用者数が伸びていないことが明らかになっている。ジェフリー・A・ムーアのキャズム理論によれば、イノベーターとアーリーアダプターをあわせた16%とアーリーマジョリティの間にはキャズムと呼ばれる「深く大きな溝」があるとしているが、AIMSの場合は40%の普及の後に大きなキャズムがあるといえる。この40%をさらに伸ばすために、大学として様々な活動を行ってきているが、その効果が数に表れていないのが現状である。 アンケート結果からも、48.5%が学生の連絡や指導に役立った、57.0%が授業に関連した指導に役立ったと回答している。学習指導に役立った内容では、予習や復習、学生の課題の遂行状態や結果の把握に役立ったとあるが、その反面学生相互のコミュニケーションの利用はあまりされていない。役立った機能では、連絡事項、講義資料の配布、メールが挙げられている。利用している教員には、AIMSが役立つという実感があるにも関わらず全体の利用が進まない現状から、教員の利用を伸ばすには、なぜAIMSを使うのか、どんな学習をさせたいのかということを考えることで、学習の方法そのものを教員が見直すことが必要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)2003年から2013年までの11年間の利用推移の分析や蓄積されたアクセスログの分析により,ロジャーズの普及過程モデルへの適合性を検討し,普及過程モデルを明らかにするために、平成23年度に構築した学習履歴分析システムを用いて平成18年度後期から25年度までの学習履歴を、基礎的指標をもとに年度ごとに分析を行い、利用の推移を明らかにした。 (2)システム利用に対する意識調査を実施し,全学的教育基盤システム利用における意思決定過程,及び教育の質の向上や教育機会の拡充の目的に対してどのように認知され,活用を促進する支援方策や組織体制,活用場面の拡張などについて,分析しその要因を明らかにするために、半期ごとに教員、学生を対象に利用状況についてアンケートを実施し、結果の分析を行った。また利用状況と教育環境、教育体制について関連性を分析し、その結果から活用促進ための支援方策や、活用場面の可能性を提案した。 (3)採用の意思決定過程の要因から現状の支援方策の課題を分析し,意思決定を促進するための情報や研修の在り方等について検証するために、平成25年度までの分析結果をもとに、AIMSの機能の利用は、教員の意思によるものが大きいことが明らかとなり、教員の研修の重要性が明らかとなった。教員の研修は、事例研究会を開催し、内容を分析することで、各教員の学習に対する考え方が他の教員に影響を与えることができると考える。 (4)教育の質の向上を目的としたオンキャンパスにおける教育基盤システムを利用したeラーニングの活用形態をアクセスログから分析するとともに,指導教員への調査等を実施し活用タイプを分類するために、平成18年度後期から25年度前期データについては、各基礎的指標をもとに、活用状況の分析を行った。今年度は、教員の利用経験、授業タイプ等による詳細な分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、最終年度として、普及の支援方策による成果を分析して要因を明らかにし,普及モデルを提案する。 全学的教育基盤システムとしてのAIMS-Gifuの普及過程を総括し,大学教員・学生・事務職員の採用の意思決定過程に影響する要因を明らかにした普及モデルを検討するとともに,具体的な普及支援の方策を提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に必要な物品はすべて購入済みであるため、残額を次年度に繰り越しをした。 平成26年度は、大量のデータを保管するためのハードディスク等の記憶媒体、最新バージョンのソフトウェア、追加データの処理のための謝金、学会発表のための旅費、事例記録のためのビデオカメラ等が必要である。25年度の繰り越し金は消耗品等に充てる。
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