研究課題/領域番号 |
23501143
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森田 政裕 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (90135179)
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キーワード | 遠隔教育 / TV会議システム / 大学開放 / 生涯学習 / 地域 |
研究概要 |
本研究は、TV会議システムを中心とした情報通信ネットワークを活用した遠隔教育方法を、大学開放事業及び地域の生涯学習の各種機会への適用可能性を追求することにより、大学等の高等教育機関の地域貢献・社会貢献のあり方を追求するとともに、岐阜県レベルでの大学間連携による大学開放事業への導入可能性についても検討しようとするものである。 遠隔教育手法を活用した大学開放事業の先進事例とみられる私立大学においても、卒業生等への縁故者との関係性の確保に事業実施の主眼がおかれ、地域への学習・教育機会の提供という点では限界があった。遠隔教育の手法は縁故といった特別の関係を基盤とした場合には適用が容易であるものの、教育関係の成立に随伴して一定の人格的結びつきないし共感性の成立が期待される地域における一般的な学習・教育機会では、教育関係の持続に困難がもたらされる。一定の知識・技能のセットの獲得や資格・免許等の付与といった教育目的が明示された場合を除けば、そうした困難が生じがちである。そのことは、明確な教育目的を実現するための手段として学習・教育関係が位置づけられていることが遠隔教育においてはことに求められるのであり、学習することそれ自体を目的と位置づけられた学習・教育機会は、教育関係が成り立ちにくい、あるいは、教育という形での関係性そのものが成り立たないことを意味するであろう。 これまでの資料収集及び聴き取り調査からは、概ね以上のようなことが明らかになりつつあり、遠隔教育方法を適用していく場合、教育の目的そのものを明確にした上で、その目的を達成するために必須の知識・技能のセットが獲得されるという手段的位置づけ、あるいは、教育の目的が指導者との一定の人格的結びつきないし共感性のうちに達成されるという見通しまでを明示しておく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度においては、大学開放事業の先進事例の資料収集・調査及び大学教育関係者への聴き取り調査とアンケート調査を行った。それを受けて、平成24年度には、遠隔教育手法の適用にかかわるアンケート調査を実施する予定であったが、調査実施の場と考えていた平成24年度岐阜大学社会教育主事講習に遠隔教育手法を導入することができなくなり、調査を実施することができなくなった。ネットワーク大学コンソーシアム岐阜の岐阜大学サテライト教室で部分的に実施されている遠隔教育にかかわり、大学開放事業及び大学間連携による大学開放事業についての大学関係者からの聴き取り調査は順調に進展しており、また、地方自治体の生涯学習関係者からの聴き取り調査も同様である。遠隔教育手法にかかわる消極的イメージ・意識については、こうした質的調査によって基本的性格は大筋で明らかにできており、そこで必要となる対応策の見通しも一定明らかになりつつある。その意味で、上記の達成度の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、遅れてしまった大学教育関係者と遠隔教育手法を導入した生涯学習の学習・教育機会の関係者を対象としたアンケート形式の量的調査を実施して、その結果を質的調査を通して明らかにすることのできた遠隔教育手法についての教育関係者の意識・意見の傾向と照らし合わせ、遠隔教育手法の大学開放と生涯学習の適応可能性を追求するにあたり考慮すべき点を明らかにして、遠隔教育の評価を実施する場合の基本的論点を明確にしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでに実施できなかったアンケート形式の量的調査の調査データの入力・集計作業を円滑に行うため、謝金等の効果的・効率的な活用を図るとともに、本研究の成果の効果的な発表のための印刷費の物品費を効率的に支出したい。
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