研究概要 |
本研究では、学習者が未来または過去の自分自身へ宛てた手紙や自分のこと(生き方、将来の夢など)を伝える作品をデジタルストーリーテリング(digital storytelling、略称「DST」)で表現する授業設計及び実践にとり組んだ。 DST制作授業の設計のために、2010年度の大学授業で学生がDST制作にとり組んだ感想を質的分析し、授業デザインのためのコメントをコード・カテゴリー化した。その中で、学習者による振り返り、自己効力感、やりがい、自分の生き方、満足感などがキーワードとして挙げられ、それをもとに、DST制作プロセスモデル「ADMSAR(Arrage,Design,Make,Show&Send,Assess&Reflect)」を構築・修正した。また、DST制作過程の中で、ARCSモデル(Attention,Relevance,Confidence,Satisfaction)に着目し、作品制作テーマや学習支援技法とどう関連するかについて検討した。 DST制作について学ぶビデオ教材やDST制作マニュアルを改良し、実践用WebサーバやMoodleコースを構築した後で、大学授業において、「自分への手紙」「未来に残したいもの(未来遺産)」をテーマに、2分程度のデジタルストーリー制作にとり組んだ。DST制作の事前・途中・事後で、大学生がどのようにARCSについて考えているかを記述させ、その分析を進めた。質的分析を主に進めた。さらに、ARCSについて事前事後でどのように変容するか、量的なデータも統計的に変化したか明らかにした。 また、中学校においても、実践協力者が国語の授業において、同様なテーマでがDST実践を進めた。その中で、DSTが言語活動の充実と生き方学習とどうつながるかやメタ認知や自己内省力とどう結びつくかについて、作品自体、ナレーション原稿、アンケートをもとに検討した。
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