指導案を利用した教師教育支援環境の実現と評価に関する研究に対して,平成25年度は,(1)指導案を利用した教育実習支援システムとしてのあり方についての検討,(2)教師教育支援環境の試作と評価の2点を行った. まず(1)であるが,昨年度末に新たなシステムとして現職教員向けに指導案オーサリングシステムTeaPoT IIを試作した.この試作を踏まえて今年度はこれまでのシステムのあり方を検討した.教育関係者や現職教員らとの議論等を通じて,システムについては様々な機能よりも安定して使いやすいシステムが望ましいという意見が見られた.このことからもシステムを分散・冗長化することやタブレットPCでの利用を意識したインタフェースデザインは高く評価された.また,指導案の著作権やコメント機能も評価された. 授業改善という立場に立つと,(a)自己の方針を明示化して第三者からの意見を得やすくすることと,(b)専門家や熟練者の話を聞く・参考にするというものがある.前者はこれまでのTeaPoT IIによって実現することができた.後者の具体例に教員研修というものがあるが,なかなか所定の日に集まることがむつかしく,成果が上がらないものである.そこで(2)であるが,申請者は新たにTeaPartyというオンラインカンファレンスシステムを構築した.このTeaPartyはこれまでの既存の通信技術を利用することで,サーバの負担を軽減するとともに,講演者および参加者が同一場所,同一時刻に集まらなくても講演の様子を閲覧することを可能とした.さらにはTeaPoT IIの技術を連携させることで,講演者や参加者の指導案等を閲覧したりコメントを行うことを可能としている. その結果,本研究は授業改善に必要な2点(a)(b)を満たすことから,以上をもって指導案を利用した教師教育支援環境の実現と評価に関する研究を行うことができた.
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