研究課題/領域番号 |
23501148
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
森川 修 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (20252885)
|
キーワード | e-ラーニング / 入学前教育 / 学力把握 / プレースメントテスト / リメディアル教育 |
研究概要 |
本研究は,鳥取大学において学力試験(大学入試センター試験)を課さない入試区分での合格者に対して合格時の学力把握と大学入学までのe-ラーニングの実施状況を調査し,学習習慣の継続のためにe-ラーニングを効果的に利用する方法を見出すことを目的としている. 本年度は平成24年度入学生の入学直後の学力把握をすることで,e-ラーニングの実施状況と学力がどのような関係となっているかについて調査した.その結果,e-ラーニングを期間中,ほぼ同じようなペースで行ったグループ,大学入試センター試験終了後や自由登校になった2月から実施したグループ,3月に入ってからすべての課題をおこなったグループ,課題の進捗率が半分以下のグループの4つ分類すると,前者2つのグループは学力の維持(あるいは向上)につながっていることが分かった.また,課題を終わらせなかったグループでは,学力維持ができていなかった.このことから,入学前教育としてe-ラーニングを実施する効果が見られたと判断した. 次に平成25年度入学生について,昨年度の実施と同じように行った.まず,合格時の学力把握は,該当者60名に関して合格時に英語,数学,選択科目(国語,物理,化学,生物より1科目)の合計3科目のプレースメントテストを受験させた.これらのテスト結果は,合格者に通知するとともに,入学後に所属する学科にも情報提供した.特に,基礎学力に不安のある合格者については,入学後の大学教育になじめるよう,担当教員にフォローをお願いした. また,e-ラーニングについては,実施状況が各学科の担当教員がインターネットを使って合格者の進捗状況がわかることから,課題が進んでいない合格者に対して,担当教員が直接アドバイスをした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で平成24年度までの実施項目は,平成24年度入学生の入学前教育(合格時のプレースメントテストとe-ラーニング),入学直後の学力把握と1年次修了までの成績把握,および,平成25年度入学生の入学前教育を実施することとしており,すべての項目を実施した.この中で,e-ラーニングの実施状況は,e-ラーニングのシステム(コンテンツ)製作会社よりデータで納品されることになっているが,それ以外について,すべてのデータが得られている. 以上のことから,平成24年度までの達成度は,「おおむね順調に進展している」と判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
鳥取大学ではAO入試を実施して10年が経過した.その間に平成20年度入試合格者から入学前教育の方法を大きく転換した.それまでは合格者の所属する学部や学科に関係なく,月1回の通信添削を3教科(英語,国語,数学)で行っていた.これをインターネットが接続されているパソコンを利用したe-ラーニングに変更した.さらに教科・科目は,英語,数学,理科(物理,化学,生物),日本語と種類を増やし,合格者の入学する学科単位で科目だけでなく,単元まで指定した.また,合格時における学力測定をして,合格者個人の学力に応じて,課題内容を変えて実施した. そこで,今年度は入学前教育の方法を変えたことが,在学中の学業成績や卒業に及ぼす影響について調査・発表する予定である.平成22年度以前は,科研費が採択される前のことではあるが,本研究の目的である「e-ラーニングが入学前教育に与える影響を検証する」ために,欠かすことができない内容と思われるためである. それ以外については,学年進行に伴い,平成23年度入学者は,平成25年度終了時で4年生に進級できるかが分かるため,その調査を実施し,平成24年度入学者は2年次まで,平成25年度入学者は1年次終了までの成績を得ることができる.これらを今後のe-ラーニングのコンテンツ等に活かす予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用については,e-ラーニングのシステム(コンテンツ)にかかる費用,プレースメントテストの費用を充当する予定である.また,「入学前教育の方法を変えたことが在学中の学業成績や卒業に及ぼす影響について」に関する成果発表を行う予定であり,それにかかる旅費にも使用する予定である. なお,平成24年度終了時で77,710円の繰越金が発生したが,これは,前年度(平成23年度)には,148,170円の繰越金があったためであり,平成24年度はほぼ計画通りの予算執行であった.
|