研究課題/領域番号 |
23501150
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松浦 健二 徳島大学, 情報化推進センター, 准教授 (10363136)
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研究分担者 |
森口 博基 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50335808)
金西 計英 徳島大学, 大学開放実践センター, 教授 (80204577)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メディアの活用 / コミュニティ / 教育工学 / 身体知 / スキル |
研究概要 |
人間の身体動作を伴うスキル開発においては,その習熟度を他者との相対的な関係において自身で推し量る事ができると考えている.そこで,複数種のスキル(例えば,ケンダマとダーツ)をサブコミュニティとして扱えるコミュニティ援用システムの試作を行った.ここで,対象とするスキルの粒度によっては,対象運動自体をスキルとして捉える場合も,同種の運動内での複数種のスキルを対象とする場合もあり,本研究での設計論を確立する上では,これら両面を初期検討として研究を進めてきた.平成23年度には,具体的には,下記の項目を実施している.(A-1)共通変数の抽出検討:スキルパフォーマンスを評価する際の評価項目を,典型的な身体スキルをケーススタディし、その内部表現の設計を行った.スキル表現と分析に必要なスキル抽出手法については、典型的な対象スキルを複数取り上げ、検討およびシステム設計を実施した。(A-2)コミュニティ関連付け手法の設計:A-1の設計に基づき,コミュニティ環境に適用させるべくプロトタイプを構築した.利用者を募集したが,予想よりも少なかったため,対象スキルを絞った初期試用を実施した.(B-1)蓄積コンテンツの共有環境構築:システム上のコンテンツ共有化を複数種に跨って実装する際の抽出機能を実現した.(C-1)個人間の分析手法検討:ユーザはプロファイル情報(静的情報)と行動ログ(動的情報)を有し、これらの間で、個人間のスキル伝播に関する分析手法を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組織的には,キックオフミーティング以降は直接的な定期会議を設ける事が困難であったため,メール等による連絡を主として進めてきた.資料収集や試作においては,研究協力者の積極的な貢献もあり,初期検討や初期発表としては一定の成果が実現できている. 具体的な研究成果は,国内外での学会発表を中心に実施してきたが,特にコミュニティ援用システムについては二種類のシステム開発を行った.すなわち,複数種の運動を対象にして,それらを結びつける事に主眼を置いたシステムと,特定のスキルに着目し,そのスキルに特化した身体動作をモニタする機構の構築である.前者は,オープンソースシステムをベースにして,WEBシステムを設計,構築した.後者は,センサを用いて詳細な身体活動のモニタリングを実施するために特定の場所内で適用可能なシステムを構築した.なお,身体活動と脳波の関係にも着目し,そのモニタリング機構についても試作を行った. 研究目的に対する初年度の進捗としては,当初予定の研究項目を達成していると考えるが,定期会合や学外広報についてはもう少し進めたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画自体は,当初計画に従って進める予定である. 平成23年度の環境はオープンソースシステムをベースに開発してきたが,これが既に数世代前のものになってしまい,インターネット公開にはセキュリティ上の脆弱性も含まれる.さらに,本システム構築に協力していた前年度の研究協力者(大学院生)が修了してしまったため,残研究機関のベースシステムに対する構築方針を決めた上で,実装する必要がある.なお,研究実施には,研究協力者として大学院生を補強する事を計画する. 平成24年度は,当初は過年度の研究成果を元に,テスト・検証と改善を実施する予定であった.この実現には,改善部分としてベースシステムのバージョンアップとテスト環境のクローズ化によって実施できるものと考えている. 加えて,コミュニティ間の分析手法の検討については平成24年度の課題となる.したがって,複数コミュニティ間の記事や活動記録に対する抽出項目を再度精査した上で,リンク付けの実装手段とその効果測定に関する手法を開発していく必要があると考えている. これらを残期間で実現すべく,研究分担者および研究協力者と特に年度始の時期には連携を強め,国内外での発表も進める.なお,日常的な運動への期待の高まりに対して,実際にはドロップアウトする事も多いため,継続支援のための動機付け手法も取り入れる必要があると考え,機能設計および実現をしたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)平成23年度の研究費においては,未使用の繰越費が出ている.これは,研究補助の謝金を当初予定してたが,実際には当該年度には不要となった事,および会議等参加費が見込額よりも小額で抑えられた事に起因している.(2)平成24年度以降の当初計画と合わせた研究計画としては,まず上記の繰越費による計画として,開発のための環境構築のための消耗品購入および一部は成果発表のための出張を増加する.この他の計画は当初予定通りとしたいが,成果発表としてはジャーナル論文や国際会議論文のみならず,国内学会への口頭発表も積極的に増やしたいと考える. なお,開発環境とテスト用の環境を分離し,また分析用の計算資源とユーザとの直接的インタフェースを持つフロントエンドのシステムとの機能分離を要する場合がある.すなわち,負荷分散によりユーザへの応答性能を高める場合であるが,このためのコンピュータを導入する必要性も検討の上,必要に応じて実現したいと考えている.
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