研究課題/領域番号 |
23501150
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松浦 健二 徳島大学, 情報化推進センター, 准教授 (10363136)
|
研究分担者 |
森口 博基 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50335808)
金西 計英 徳島大学, 大学開放実践センター, 教授 (80204577)
|
キーワード | メディアの活用 / コミュニティ / 教育工学 / 身体知 / スキル |
研究概要 |
本研究では、人間の全身身体活動を伴う反復運動を対象とし、そのスキル開発支援を主目的としている。特に、身体スキルにおいては、初級者から上級者まで訓練手法が変化することと、個別性の問題があるため、その訓練手法を開発することはスポーツ科学、学習科学においても困難な領域の一つである。本研究での対象には、特に初級者から中級者の層を中心とし、この層においては、個別性重視よりも一定の抽象化したアプローチを重視すべきと考えている。また、本研究の特徴の一つとして、複数種のスキルに跨って支援可能な機能・共通項を検討することが挙げられるが、それには(1)単一種の運動内での複数スキルを対象とする場合、(2)複数種の運動を対象とした複数スキルの場合、といった対象がある。平成24年度は、これらに対し、下記の研究を実施した。 (1)単一種の運動内でのスキル開発支援研究 反復運動系においては、スキル開発における主要な方向性は、安定化制御である。そこで、特に長時間の運動に対する共通変数として心拍を取り上げ、その機能的安定化支援環境を実現している。また、訓練における自己調整に寄与する機能として、アノテーション機能を実現し、実際に試用評価を行っている。心拍に対する知覚自体には有意な結果は得られていないが、計測された心拍数のばらつきに着目した場合には、有意な差も見られており、一定の研究成果が得られている。 (2)複数種の運動に跨るスキル開発支援研究 複数種に跨るスキルにおいては、その分類が必要であり、多元的な軸での分類(最大で16)を取り入れたSNS環境を構築した。SNS環境における訓練の様子は、活動記録として扱え、これらのリンク付け機能を実現した試作を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)年度始のキックオフ・ミーティング実施、オンライン・オフラインでの組織的な研究推進、および年度末の報告会を開催し、研究が順調に進んでいる。分担者だけでなく、研究協力者の精力的な活動や、文献調査もあって、平成24年度は予定していた研究成果が概ね実現できている。特に、年度末の報告会では、場所を医学部研究室にて実施し、今後も関連分野の研究者との交流および情報交換、情報収集も継続的に実施できる見込みとなった。 (2)平成24年度の具体的な研究成果として、学術論文、国際会議、国内口頭発表等の通常のパブリケーション活動を実施してきた。またアウトリーチ活動の一環として、WEBでの情報発信も開始すべくCMS(コンテンツマネジメントシステム)環境を構築した。 (3)システム開発においても、前年度構築したSNSシステムに対して、セキュリティを考慮したベースシステムのバージョンアップおよび機能強化を独自開発している。また、支援機能を実現し、試用評価も重ねているため、今後被験者数増加と試用期間の長期化が期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究を推進するために、成果公開のための広報面での活動を強化したい。本研究課題の関連研究分野には、教育工学、学習科学、スポーツ科学、認知科学等、多様であるが、その支援技術も進歩しており、技術の適用・応用対象としての注目度は高い。そこで、多様な学会活動の場や、国内外での交流の場、意見交換の場を有効活用すべく、論文誌への投稿に加えて、国際会議等の場を積極的に活用したい。 なお、研究課題としては、今後も継続的な実験評価を行い、経時変化や対象スキルの幅を広げる活用も求められる。そこで、被験者を広く募り、実験的評価を進めたいと考えている。具体的な内容・方法論としては、最終年度にはそれまで実施しなかった新しい全身反復運動を対象とし、時系列変化を考慮した支援方法の設計にも取り組みたい。これらに対し、分担者からは教育工学の視点および医学的な視点を取り入れ、実験設計や評価手法についても議論を進め、研究の推進を図る予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、本研究の最終年度である。このため、主な研究費の用途としては、成果発表とアウトリーチ活動と考えている。主に以下の研究費使用計画を立てている。 (1)物品費:研究推進に必要な消耗品の購入を一部予定しているが、高額な備品は予定していない。 (2)旅費:本研究の対象領域や分野自体は、センサや映像解析等の適用可能な技術の進展と共に、生命科学分野とも融合して、研究者も増加傾向である。そこで、継続的に調査も実施すべく、資料収集および研究打合せの旅費を計上する。また、成果報告として日本語英語双方での口頭発表を計画し、一部は既に投稿済み・採否判定待ちである。また、国内では特に、研究会等の頻度も高い関東だけでなく、関連分野の学会全国大会へも積極的に参加・発表したい。 (3)謝金:平成24年度に公開した本研究の公開WEBサイトについて、引き続き平成25年度もコンテンツの拡充を計画している。このための謝金を計上する。 (4)その他:論文公開、国際会議等の学会活動において必要な経費を計上する。
|