本研究では、歯科臨床の基本的手技である歯のシェードテイキング(色調決定、ST)について、新研修歯科医の臨床経験が乏しくともその知識と技術を習得できるように、STに関するCBT(Computer Based Testing)形式の研修プログラムを開発した。プログラムは、色の三属性(明度、彩度、色相)に注目して画像を比較する課題コースと、色やSTに関する基礎的知識を問う課題コースで構成した。 平成23年度に行った、色とSTに関する新研修歯科医へのアンケート(第31回日本歯科医学教育学会にて発表済)と、最も一般的なシェードガイド、Vita Classicalの色の三属性を識別するSTトレーニングプログラムを試作した。平成24年度にはプログラムへのアクセスに時間と場所の制限が少ないWEBオンライン学習システムの構築を行い、実習を行った。結果、色相の比較が困難で、シェードに関する知識の定着に改善の余地があった(第32回日本歯科医学教育学会にて発表済)。 平成25年度は前年度の結果を踏まえトレーニングプログラムの修正と、実施結果の再分析を行った。 当初の色相の課題は、課題画像を4つのシェードガイド画像と比較するものだったが、新たに基礎コースとして歯の形を消して色味のみを抽出した2つの画像を比較するものを設定した。またシェードに関する知識に関して、情報を読むだけだったものを選択肢形式の課題として設定した。新研修歯科医に修正したトレーニングプログラムを行わせた結果、比較のためその前後で行ったテストの正答率は、筆記(平均12%→67%)および実技(平均40%→53%)とも有意に上昇し、その効果が示された。患者の多少に左右されない新研修歯科医師の研修ツールとして有効であると思われ、STのほかの手技への応用も期待できる。以上について第33回日本歯科医学教育学会にて発表予定である。
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