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2012 年度 実施状況報告書

医学、医療における組織学・病理組織学学習システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23501164
研究機関岩手医科大学

研究代表者

澤井 高志  岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)

研究分担者 佐藤 洋一  岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
三浦 康宏  岩手医科大学, 医学部, 助教 (40398483)
菅野 祐幸  信州大学, 医学部, 教授 (40252663)
黒瀬 顕  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244910)
キーワード病理カンファランス / バーチャルスライド / WEB会議
研究概要

本研究のテーマは、医学、医療における組織学・病理組織学学習システムの開発である。本年度は学習システムの実用化を目標とした改良と検証を行った。
開発した内容は、バーチャルスライド(以下:VS)画像を簡易に組み込め、多地点でカンファランスが行えるシステムである。参加者は自宅または職場の個人用パソコンで参加ができ、それぞれVS画像を操作することが可能である。インターネット環境であれば、いつでも、どこでも利用することが可能である。また、この際のVS画像は「zoomify」形式を利用しているため、これに対応するVS画像であればメーカーを問わずに組み込むことができる。
このシステムの検証を行う目的で全3回のカンファランス実験を行った。第1回は岩手医大学の内丸キャンパスと矢巾キャンパス間、第2回は矢巾キャンパス間内、第3回は岩手医科大、弘前大、琉球大、である。参加地点の距離やログイン数を変えながら、システムの操作性、音声機能等を検証した。その後、2回の追加検証(岩手医大、信州大、弘前大、川崎医科大)を実施してこれを評価した。その結果、本システムのVSの画質は教育利用する上で問題なく使えることが明らかとなり、実用可能なシステムとして完成した。
近年、WEB会議システムを使った講義配信、オンライン会議などが学校や企業で多くみられるようになったが、このようなVS画像を組み入れたWEB会議を行っている事例は多くない。また、従来の病理カンファランスで使われている会議システムは高額であり、導入施設は限られていたため、参加者が実施会場まで足を運ばなくてはいけなかった。本システムはこうした問題を解決し、自宅の個人PCで手軽に病理カンファランスが行えるシステムである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究はVS利用を目的としたシステム開発である。本年度に関しては、「病理カンファランスシステム」の開発を重点的に行い、来年度の実用化としての運用を残すのみで、達成度はおよそ8割といった程度である。具体的な改善を行った箇所は「レイアウト」と「機能全般」である。「レイアウト」はどのPCモニターのサイズを使用してもレイアウトが崩れないようにした。「機能全般」は、VS画像を操作できる「Master権」や、事前に見せたい画像を登録しておく「ビュー機能」、参加者が発言したい時の意思表示となる「発言ボタン」といった機能を改良した。もともとWEB会議システムは、参加者が多いほどサーバに負荷がかかるため、多くの機能をつけることは難しい。そのため機能は必要最低限のものだけにし、カメラ動画を静止画に切り替えるといった工夫を行ってシステムの安定性を図った。その結果、利用可能なシステムとして完成し、弘前大学、信州大学、川崎医科大学との最終検証を行い終了した。今後実用化する際の具体的な利用イメージは、「教官-学生」、「教官-少人数学生」などの遠隔グループ学習である。
昨年度に行った自己学習システムは、一症例に病因、疫学、病態、検査、治療を含めた総合的に学習できるシステムで、プロトタイプとしては既に完成している。遠隔講義システムについては、昨年度に「Adobe」社のWEB会議を実践的に用いて検証し、利用可能なシステムであることを明らかにした。しかしこのシステムにVS機能表示を付加すると、ブラウザ画面を同期表示する方式になるため画像の鮮明さを欠くことから、会議システムはパワーポイントファイルやPDFを使う利用方法のみに限定した。この「Adobe」社のシステムについては、達成度が10割と完結している。

今後の研究の推進方策

本研究の一環である「VSを中心においた自己学習システム」は、11疾患に関する教材が完成している。しかし、本システムの利用想定の設定が厳しいことと、自学習でVSを利用する難しさがあることなどから、今後の課題として残し、システム開発や検証に関しては終了とする。代わりに、「病理カンファランスシステム」「遠隔講義」など、利用方法の検討が課題となる。
「病理カンファランスシステム」は、H24年度に開発したシステムを実際に利用する。「zoomify」データに対応した機種を複数取り入れ、利用可能かどうかを検証する。従来のVSを利用したソフトウェアは、メーカー毎に扱うため互換性がないものが多く、VS利用の促進を妨げる要因の一つといわれている。本検証を行うことでより普遍的な利用に拡大していくことがねらいである。
このシステムは少人数利用のシステムだが、設定次第ではスクリーンなどを用いて多人数向けとしても利用できるため、遠隔講義も可能となる。その有用性についても検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

システム開発は終了したため、次年度は学会参加費、論文投稿料、別刷印刷代といった研究の成果発表に利用する。また、遠隔カンファランス実験で必要な音声機器(ヘッドセット、WEBカメラ等)が不足した際は、その購入費用として利用する。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Current Status of Digitization of Pathology Images and Telepathology in Asia.2013

    • 著者名/発表者名
      Sawai T, Matsumura T, Kamataki A, Miura Y, Uzuki M
    • 雑誌名

      J Pathol Inform

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a teledermatopathology consultation system using virtual slides.2013

    • 著者名/発表者名
      Nakayama I, Matsumura T, Kamataki A, Uzuki M, Saito K, Hobbs J, Akasaka T, Sawai T
    • 雑誌名

      Diag Pathol

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1186/1746-1596-7-177

    • 査読あり
  • [雑誌論文] バーチャルスライドの利用と標準化に関する調査報告2012

    • 著者名/発表者名
      東福寺幾夫、澤井高志
    • 雑誌名

      日本遠隔医療学会雑誌

      巻: 8(1) ページ: 19-24

  • [雑誌論文] 皮膚科領域におけるvirtual slideを利用した遠隔病理診断用コンサルテーションシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      中山育徳、松村 翼、赤坂俊英、澤井高志
    • 雑誌名

      岩手医誌

      巻: 64 ページ: 173-82

    • 査読あり
  • [学会発表] クラウドサービスCloudnを利用した大容量バーチャルスライド画像のデータベース化の検討2012

    • 著者名/発表者名
      澤井高志、松村 翼、笹原敬久、後藤恵子、笠井啓之、牧野英哉、熊谷一広、佐藤琢哉、森田泰正、久住嘉和、出口秀一
    • 学会等名
      第11回日本テレパソロジー・バーチャルマイクロスコピー研究会総会
    • 発表場所
      那覇
    • 年月日
      20121214-20121215
  • [学会発表] VS画像を利用したカンファランスシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      松村 翼、宇月美和、三浦康宏、鎌滝章央、佐藤 孝、黒瀬 顕、吉見直己、澤井高志
    • 学会等名
      第11回日本テレパソロジー・バーチャルマイクロスコピー研究会総会
    • 発表場所
      那覇
    • 年月日
      20121214-20121215
  • [学会発表] 国際利用を想定したVSコンサルテーションの可能性について2012

    • 著者名/発表者名
      松村 翼、斉藤健司、千葉 岳、澤井高志
    • 学会等名
      第11回日本テレパソロジー・バーチャルマイクロスコピー研究会総会
    • 発表場所
      那覇
    • 年月日
      20121214-20121215
  • [学会発表] 細胞特性の定量解析へのバーチャルスライドの応用2012

    • 著者名/発表者名
      鎌滝章央、村上賢也、澤井高志
    • 学会等名
      第11回日本テレパソロジー・バーチャルマイクロスコピー研究会総会
    • 発表場所
      那覇
    • 年月日
      20121214-15
  • [学会発表] 医療の現場に役立つテレパソロジー2012

    • 著者名/発表者名
      澤井高志、白石泰三
    • 学会等名
      第58回日本病理学会秋期特別総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20121122-20121123
    • 招待講演
  • [学会発表] VSを利用したコンサルテーションシステム(岩手医大方式)の成果と今後の展望2012

    • 著者名/発表者名
      松村 翼、澤井高志
    • 学会等名
      第58回日本病理学会秋期特別総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20121122-20121123
    • 招待講演
  • [学会発表] バーチャルスライドの細胞学的特性や定量化解析への応用2012

    • 著者名/発表者名
      村上賢也、鎌滝章央、平田万千代、佐藤洋一、澤井高志
    • 学会等名
      第101回日本病理学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120626-28
  • [学会発表] バーチャルマイクロスコピーを利用した活用事例2012

    • 著者名/発表者名
      松村 翼、村上賢也、鎌滝章央、石田欣二、澤井高志
    • 学会等名
      医学生物学電子顕微鏡技術学会 第28回学術講演会及び総会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      20120511-20120513
  • [学会発表] アジア諸国におけるインフラ、病理デジタル化の現状2012

    • 著者名/発表者名
      三浦康宏、松村 翼、鎌滝章央、宇月美和、澤井高志
    • 学会等名
      第101回日本病理学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120426-28
  • [学会発表] バーチャルスライドを用いた総合的学習ツールの開発2012

    • 著者名/発表者名
      松村 翼、猪山賢一、菅野祐幸、黒瀬 顕、白石泰三、森谷卓也、吉見直己、渡辺みか、野田 裕、澤井高志
    • 学会等名
      第101回日本病理学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120426-28
  • [学会発表] バーチャルスライドを利用した皮膚科コンサルテーションシステムの活用とその評価2012

    • 著者名/発表者名
      松村 翼、中山育徳、赤坂俊英、澤井高志
    • 学会等名
      第101回日本病理学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120426-28
  • [学会発表] The state of telepathology in Japan.2012

    • 著者名/発表者名
      Sawai T, Kamataki A, Uzuki M, Matsumura T
    • 学会等名
      第101回日本病理学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120426-20120428
    • 招待講演
  • [学会発表] Teledermatopathologyにおけるvirtual slideを利用した新しいコンサルテーションシステムの開発

    • 著者名/発表者名
      中山育徳、松村 翼、澤井高志、赤坂俊英
    • 学会等名
      第629回岩手医学会例会
    • 発表場所
      盛岡

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公開日: 2014-07-24  

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