研究概要 |
本研究では、Web-basedの英語テスト画面背景色が試験受験者のスコアと受験者の脳活動に影響するのかを探った.本年度はWeb-basedテストの画面背景色として先行研究(Yamazaki, 2010)でスコアが最も高かった薄青色とe-learning教材で頻繁に用いられる白色を用いた.文字色は黒とした.実験では光トポグラフィを用い受験者の脳局所の活動を測定し,Web-basedテスト受験中に活性化されている部位を探った.光トポグラフィは日立製EGT-4000で,52チャンネルを用いて言語活動中枢の左脳と前頭前野を計測した.また,昨年度に行った青色と白色背景色を用いた英語リスニングテスト実験の脳機能マッピングデータを,チャンネル毎に分析をした. 薄青と白色背景の英語文法テスト実験では,20代の右利きの男女30名を被験者とした.被験者のTOEICスコアは,330~650点の間である.実験結果では,被験者の英文法問題の正答率は薄青色背景のほうが白色背景より高く(薄青=58.67%,白=53.337%),またレストタスクとして挿入した丸を数えるタスクでの正答率も薄青色背景のほうが高かった(薄青=92.67%,白=86.00%).光トポグラフィから得られた2次元画像は,薄青背景色で問題を解いた場合にブローカ野付近で高いHb濃度上昇を示した.薄青と白色の背景について,被験者毎にtotalヘモグロビン変化量を平均して比較したところ,ブローカ野に位置するチャンネル27と37でその平均値に大きな差異が見られた(CH27:薄青=0.128226, 白=-0.02882 , CH37:薄青=0.052131, 白=-0.07594).この結果は青色背景で英語問題を解いた場合と同様で,薄青も問題に集中できる背景色である可能性を示した.また,青色背景色リスニング問題のデータ分析からも同様に,ブローカ野付近の脳活性が見られた.昨年度と本年度の研究結果の一部は国際学会のKES,ITHET, SEATUCなどで論文として発表した.また,2013年度に得られた分析結果はKES2014で発表予定である.
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