研究課題/領域番号 |
23501174
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
冨永 敦子 早稲田大学, 人間科学学術院, その他 (60571958)
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キーワード | ブレンド型授業 / eラーニング / ピア・レスポンス / 文章表現授業 / ブレンド型指向性 / eラーニング指向性 / ピア・レスポンス指向性 / 文章作成力 |
研究概要 |
本研究は,eラーニングとピア・レスポンス(学習者が少人数グループで互いの文章を検討し合う活動)を組み合わせたブレンド型の文章表現授業の学習効果を検証することを目的としている.本年度(2012年度)は,2011年度の授業実践において収集したデータを分析し,その成果を発表することに注力した.おもな成果は以下のとおりである. ◆2011年度の授業実践「文章表現授業における大学生のピア・レスポンス指向性の変化と要因の分析」が日本教育工学会論文誌に採録された.本論文では,私立X大学160人を対象にブレンド型文章表現授業を行い,授業前後における文章作成力の変化,およびピア・レスポンスに対する指向性(向き/不向き)の変化を検証した.その結果,以下の点が明らかになった.1)探索的因子分析および確認的因子分析の結果,ピア指向性としてピア親和性,意見開示抵抗感,意見受入不愉快感の3因子が抽出された.ピア親和性は授業初回よりも授業最終回のほうが有意に高くなり,意見開示抵抗感と意見受入不愉快感は授業初回よりも授業最終回のほうが有意に低くなった. 2)しかしながら,ピア親和性の低い学習者や意見受入不愉快感が高い学習者は,ほかの学習者に比べて,ピアに対する評価が有意に低かった. 3)文章力テストの成績は,ピア親和性,意見開示抵抗感,意見受入不愉快感の高低に関わらず,授業後,有意に高くなった. ◆ブレンド型文章表現授業の設計の仕方,進め方,学習効果について,学会以外の場で企業人や大学職員を対象に発表した.・2012年8月30日 私立大学キャンパスシステム研究会第一分科会研修会「e-ラーニングを利用した文章表現授業」 ・2012年10月6日 テクニカルコミュニケーション学術研究会第2回研究会「eラーニングを使った文章表現授業」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度の計画は,2011年度の授業実践において収集したデータを分析し,その成果を発表することであった.計画のとおり,2011年度春学期および秋学期の集中講義で実施した,eラーニング指向性質問紙,ピア指向性質問紙,ブレンド型授業指向性質問紙,文章作成テストのデータを分析し,論文「文章表現授業における大学生のピア・レスポンス指向性の変化と要因の分析」を執筆した.本論文は日本教育工学会論文誌に採録された. また,ピア・レスポンス中の会話を録音・分析し,日本教育工学会第28回全国大会において発表した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2013年度)は,引き続き,研究成果について研究会等で発表する.また,ピア中の会話とピア・レスポンス指向性,文章作成力との関連についても分析し,研究会等で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
成果発表のための発表費および国内出張旅費が必要である.また,文章評価作業の謝金が必要である.
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