様々な分野の知識を融合させてシステムの構築を行う組み込み技術者を育成する教育課程においては体験型実習科目や創成科目が非常に重要である。また、創成科目の効果を高めるためには、座学において実際の機器を用いた体験型演習を行い、創成科目と座学との連携を深める必要がある。座学において実際の機器を用いた体験型演習を行うためには、パソコン教室や実習室に設置されているような特別な設備を用いることなく、多様な計測・制御実習を実施可能な教材が必要である。 学習した内容を定着させるためには、自宅での学習も不可欠である。自宅での学習を円滑に進めるためにはシミュレータの果たす役割が大きい。自宅での学習を支援するためには、制御対象の挙動をシミュレートするシステムも必要であるが、シミュレータの開発には多くの時間が費やされる。そのため、教員が学習計画に沿った多様なシミュレータを短時間で構築することを支援するシステムの開発が必要である。 平成25年度は、他の教育機関でも迅速かつ低コストでシステム構築を行うことを支援するための教材構築システムの開発を行った。同システムを用いることにより、体験型演習において必要とされる回路情報をGUIで設定を行うことにより、再構成可能な計測・制御モジュールの回路情報を自動生成し、体験型演習に必要な教材を短期間に作成することが可能となった。 また、より多くの受講者を対象とした体験型演習の実施するために演習用ネットワークシステムの改良を行い、80名程度の受講者の授業(3科目)を対象として、実施試験(ディジタル入出力演習、モータ駆動演習、角度制御演習、アナログ入力、フィルター処理、画像処理演習)を行った。 平成24年度に開発したシミュレータを用いた事前・事後学習と授業時間中の体験型演習とを併用した結果、講義のみの場合に比べて、定期試験での正答率が向上することが確認された。
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