研究課題/領域番号 |
23501182
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
坂本 將暢 愛知工業大学, 工学部, 講師 (20536487)
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キーワード | 教師教育 / 授業研究 / 授業分析 / キャリア教育 / 国際情報交換 / 韓国 / フィリピン |
研究概要 |
本研究の目的は、教育現場での授業経験者と、学生などの未経験者が有する専門的知識と授業に対する視点の違いを、授業分析の際の解釈や結論などを手がかりに明らかにすることと、これまで教師が授業の中で直観的に行ってきた意思決定などを、授業分析の中での教師自身による言語化をとおして明らかにすることである。 これまでに申請者は、日本の授業研究(とくに校内研究)だけでなく、海外でも盛んに行われ始めているLesson Studyを観察し、とくに現場の教師が授業の何を見るのか、国の間に視点の違いがあるのかを明らかにしようと調査等をしてきた。 本年度は、とくに、教師に求められる資質・能力、とくに職業観や社会観などを含む社会力に注目し、教師の専門性について調査・分析した。具体的には、日本の教員志望の大学生と、海外の教員に、教師を志望した理由、それをサポートした人物の存在の有無と内容、生きていく上で必要と思われる資質能力などについてアンケート調査し、統計的な手続きを経て、考察した。その結果、日本の教員志望の学生の特徴は、幸せな家庭を持つこと、興味関心を追い求めること、他人と良い関係を築くこと、ストレスなく働くことに重視しており、比較的、自己の利益を優先する項目でスコアが上回っていることが明らかになった。一方、海外の教師は、地域の発展のために貢献すること、いい仕事に就職すること、地域社会に奉仕することに重視しており、比較的、他者と利益を共有する項目でスコアが上回っていることが明らかになった。 また、本年度は、最終年度の研究を見据えて、授業分析のためのシステムを開発し、それを用いて、試験的にいくつかの授業を記録した。開発したシステムは、黒板前の教師の動きを自動で追跡し、その位置を画面の座標として記録していくものである。これによって、どの位置に教師が立っているかを、視覚的に把握することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、申請者がこれまでに開発した授業分析用ワークシートとカードを用いて授業研究会を開催することにしていたが、予定どおりに進まなかった。しかし、本年度は、海外の研究協力者の力を借りて、海外での授業研究会を開催することができ、授業研究の初学者の教師に位置づけて、どのような視点で授業を見て、分析しようとするのかを観察したり、直接インタビューしたりすることができた。 また本年度は、教師や教員志望の学生が有している資質能力、とくに職業観や社会観を含む社会力を明らかにすることで、教師の専門性や、社会との関係性、教師という職業の中での自分の位置づけなどを明らかにしようと試み、国内外でアンケート調査を実施し、データを得ることができた。その分析に、多少の時間はかかったものの、有益な結果を得ることができ、おおむね順調に進展していると言える。 また、次年度での調査・研究で利用することを前提に、授業分析のためのシステムを開発し、試験運用を済ませている。次年度では、授業を観察しながらデータを収集し、教師や学生を踏まえて、再度、授業研究会を開催し、教師と教員志望の学生との授業を見る際の視点の違いや、子どもの発言に対する思いの違いや、教材に対する理解の深さの違いが明確になることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の最大の目標は、本研究の論文化である。本研究に関しては、すでに国際学会に投稿して採録されているが、国内の学会に、本研究で開発したシステムについて記した論文や、教師と教員志望の学生との分析視点の違いなどについて記した論文を、前半に取り組む必要があろう。 開発したシステムについては、申請者が国内のデータ収集をするだけでなく、海外の研究協力者にシステムを渡してデータ収集の協力を得て行う必要があろう。 また、アメリカのボストンにあるシモンズ大学のアンドリュー・エフラット氏に、研究のアドバイスを求めることで、本研究がより深化するように思われるため、エフラット氏へのインタビュー調査の実施を計画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の申請書のとおり、授業研究の様子を分析するためのPCを購入する予定である。また、次年度は開発したシステムを用いて授業研究を行うため、データ収集や、成果を国内学会だけでなく、国際学会でも積極的に発表することを予定している。また、研究を進める上で、アメリカのボストンにあるシモンズ大学のアンドリュー・エフラット氏が、教師教育とプロフェッショナル・ディベロップメントという関連するテーマに取り組んでいることを知り得たので、訪問して、インタビュー調査することを計画している。
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