研究課題/領域番号 |
23501185
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
小孫 康平 皇學館大学, 教育学部, 教授 (60260022)
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キーワード | 教育工学 / シリアスゲーム / ユーザエクスペリエンス |
研究概要 |
1.未習熟者群および習熟者群のビデオゲーム操作活動に関する実験 本研究では、ゲームの未習熟者群と習熟者群とを比較して、ビデオゲーム操作活動の違いを明らかにした。実験では9名を対象に、「スーパーマリオブラザーズ」を用いて、コントローラのボタン操作回数および脈波を40分間測定した。その結果、(1) 左ボタンの平均操作回数は、習熟者群(5名)の方が未習熟者群(4名)より有意に多い傾向があった。また、両群とも時間経過とともに操作の習熟が進み、プレイ後半に減少した。(2) 誤動作である左ボタンと上ボタン同時平均操作回数では、後半に減少する傾向が認められた。(3) Bボタンと右ボタン同時操作(右に走る)およびBボタンと左ボタン同時操作(左に走る)の平均回数は、未習熟者群の方が習熟者群より有意に少なかった。未習熟者群はBボタンの機能を正確に理解していないことが示唆された。(4)プレイ後半において、未習熟者群の方が習熟者群より平均リアプノフ指数相対値は大きく、緊張状態が高いということが示唆された。 2.シリアスゲームのプレイ中の情動変化に関する実験 ゲームプレイヤーがシリアスゲームをプレイする過程で、情動がどのように変化するのかを「歴史シミュレーションソフト」(大航海時代)を用いて検討した。奇襲攻撃中は平均リアプノフ指数が高く、緊張状態でプレイしている。一方、航海中は平均リアプノフ指数が低く、リラックスしている状態であることを示唆した。脈波のリアプノフ指数は、客観的に情動変化を把握でき、ユーザエクスペリエンスの評価となり得ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、未習熟者群および習熟者群のビデオゲーム操作活動に関する実験およびシリアスゲームプレイ時の情動変化に関する実験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、実験データを基にして、ゲームプレイ中のボタン操作過程、心理状態変化の指標である脈波のカオス分析から得られたリアプノフ指数および主観的評価との因果関係を総合的に検討する。さらに、ユーザエクスペリエンスの客観的指標として脈波のカオス分析から得られたリアプノフ指数が有効であるかを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
ゲームプレイ中のボタン操作回数、心理状態変化の指標である脈波のカオス分析から得られたリアプノフ指数および主観的評価との因果関係を総合的かつ詳細に検討するためには、統計処理ソフトが必要である。また、研究の成果発表のための旅費が必要である。
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