研究課題/領域番号 |
23501187
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
河崎 哲嗣 園田学園女子大学, 教育学部, 准教授 (00582488)
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研究分担者 |
守屋 誠司 玉川大学, 教育学部, 教授 (00210196)
岡部 恭幸 神戸大学大学院, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70425057)
垣東 弘一 園田学園女子大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (50369732)
小田桐 良一 園田学園女子大学, 未来デザイン学部, 教授 (60330437)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 数学的モデリング / 教員養成 / 文系大学生 / 国際情報交流 / 遠隔教育 |
研究概要 |
小学校における算数・数学的活動【数学的モデリング】に対する実施に関して、数学的モデリングをオープンエンドアプローチの問題解決学習のようにして作っただけで終わる授業事例が見られた。算数・数学教育としては、「体系的な数学の構成である。どのような数学的認識を促すのかを明確にする。どのような学力を保障するかの観点を持つ」という必要性に辿り着いた。また、2011年10月に、国立大学文系学部Aと別の国立大学教員養成系学部Bと、2つの私立大学教員養成系学部C,Dの2,3回生の学生達に対して、算数・数学の学力テストを実施した。これらは小学校採用試験のレベルのものであり、この学力レベルが小学校教員の基準であると考えた。しかし、採用試験の特色上、学力が相当低くても教員として採用されることも判明した。さらに私立大学Cの学生を例にしてみると、算数授業に対して、自然現象や事物を捉える観点が備わっていないために算数・数学を使うレベルになかなか到達していない現状にあった。学力をつけるとともに、モデリングを行う目的と重要性を十分に理解させる必要があると考えられる。その上で研究分担者で会合を開き、数学的モデリングの教材作りの着手に努めた。基本的な構成は、玉川大学を参考に取り組むこととした。 また、テレビ会議システムを利用した学生間の遠隔協同学習として1月に2度、京都教育大学とドイツ・カールスルーエ教育大学と園田学園女子大学とで、試験的なドイツ・日本の比較研究を実施した。学生の異文化理解と日本の問題点に関して効果をあげた。また、本研究で行う授業での数学的モデリングの教材作りに着手する方向となった。 オーストラリアでの国際学会(ICTMA15)にて、これらの基盤研究の論文発表を行い、情報・資料(教材)入手を行った。日本の数学的モデリングの模擬授業が可能かどうかの研究者等と交渉は実現できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目以降に整理発表する予定だった投稿用論文を、予想外に国際論文(オーストラリア,ブラジル,ドイツ)に3本、国内用に1本作成したことは、基礎研究の内容として概ね順調であった。(1) 学生に対する学力テストや調査、小学校の実態に関する文献調査も全体像を把握する上で達成した。(2) テレビ会議システムを活用して国際遠隔協同学習を実施して、国際比較研究の実施に成功した。本研究のために作成した玉川大学の実施カリキュラムを参照し、神戸大学・園田学園女子大学・京都教育大学の各大学にて教材化に向けての充実した話し合いができた。(3) 数学的モデリング授業の有効性を測る授業の事前・事後の調査については、神戸大学側に分担したが、これについては未だ成熟していない。次年度以降の継続研究になる。(4) Ipad2の活用イメージーの構築は、各分担者に任せたが実態は未だ明確にできていない。これらも継続研究となる。当初の目的として、小学校教員養成のカリキュラムを持つ大学で、算数が苦手で嫌いだが、小学校教員を目指す学生が、算数を教えられる資質まで高められるかどうかが大きな問題である。この研究期間3年の間に、この問題への1つの取っかかりになったようである。従って、研究の目的の数学的モデリングの実践力育成モデル授業の提案の基礎研究として満たしたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
算数的活動を取り組ませる(数学的モデリングの授業の大切さを理解させる)ための基礎研究(1) 各大学において数学的モデリングとは何かを理解させた後、学生が日常体験的にイメージしづらい内容【仕事算・速度・濃度・割合・関数等】を用いた教育実験を行い、その有効性を検討する。(2) テレビ会議システムを利用した学生による遠隔協同学習の中で、外国や日本との授業内容や教材の違いを研究できるように企画し、学生による授業考案への参考に繋げさせる。(3) 小学校高学年を対象にした先行的な日本の例として、ひらめき☆ときめきサイエンスを活用する。そこではグループによる学習を中心とし、学生自ら体験できるように工夫をする。学内外において学生達がIpad2やSkype等を使いこなして、経過や様子を観察・把握できるような環境整備を目指す。(4) これらの内容の一部をICME2012(韓国・仁川大学7月)で発表し、ICTMA16(ブラジル・ブルーメナウ大学,2013,7月)で投稿論文として準備をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度使用額の残高については、2012年3月31日にICME2012の参加登録費として既に使用し、その領収証は5月発行となりました。今年度使用については、物品費\129,600,旅費\495,800,その他\174,600として分担者に配当して実施する。
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