研究課題/領域番号 |
23501188
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
倉本 充子 広島国際大学, 薬学部, 教授 (20352031)
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研究分担者 |
西田 晴美 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (10556054)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | WBT学習環境 / EFL / 音声知覚 / 語学学習SNS / シャドーイング / 教材開発 / RST / 学習者要因 |
研究概要 |
本研究では平成19年度基盤研究において整備したWBT学習環境を土台とし、教室内外での学習者自身の自律学習習慣の形成および語彙処理の高速化や自動化を促す、より効率の良い学習法を提供をすること を目指している。今年度は、学習者の既習外国語語彙の保持量や運用力の異なり、さらにメモリースパン容量の程度、過去の学習経験の異なり、心理的要因の違いなど様々な学習者要因がもたらす、英語文理解度への影響を調べることを中心とした。 まず、短期集中型シャドーイング訓練による学習者への影響を調査したパイロット研究で得たデータをグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA )に基づき質的分析し、成功した学習者の概念 を抽出した後、理論図を導き出し、訓練の実践的な活用のためにモデル生成を行った。訓練により得たストラテジーを効率よくその後の学習計画に転移させることの重要性が示唆されたため、次の段階として、上記の様々な学習者要因を具体化し、提示モデルに反映させるための基礎データを得るため、調査実験を実施した。 英語運用能力の初級と中級レベルの学習者らに対するメモリースパンを図るRSTテストとJACET8000に準じた異なる語彙レベルを用いた二種類の理解度テスト(精度と速さを測定するコンピュータテスト)を実施し、面接法を用い質的な分析を行った。量的研究による統計手法に偏りがちな近年の英語学習効果分析に対し、個別の条件を持つ学習者らの現状をつぶさに調べるGTA 理論に基づく本研究は、データに基づく研究者の判断も含める手法である。この手法は、遅々とした印象があるものの、個人を尊重する教育の理念を崩さない研究法として、今後の外国語教育の方向性に一石を投じるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、先行研究として前年度に実施した英語学習に成功した学習者らの調査データに関する精緻な質的分析をGTA理論に基づいて実施し、学習者要因と学習の達成度との関連を掴むことができた。 さらに、今年度の目標であった、学習者の既習外国語語彙の保持量や運用力の異なり、メモリースパン容量の程度、過去の学習経験の異なり、心理的要因の違いなど様々な学習者要因がもたらす、英語文理解度への影響の心理実験調査を2大学において実施することができた。これらのデータ分析結果をもとに、次年度の展開を行う。
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今後の研究の推進方策 |
23年度のデータをもとに、GPA理論に基づくさらなる分析を進め、精緻化した心理実験の必要性を検討する。その結果により、広くEFL学習者を対象とするシャドーイング法を含む形態での語彙頻度別単語認識課題の作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、前年度に購入に至らなかったソフトウェア類の更新版を含め、各種分析ソフトウェア、記録用ソフトウェア、記録用デジタルビデオ、記録用メディア、最新版PC、旅費として研究会・学会参加(国内・国外への旅費)、謝金として、被験者謝金など、を主な使用予定費目とし、前年度からの繰り越しと合わせ使用する。
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