研究課題/領域番号 |
23501189
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研究機関 | 仁愛女子短期大学 |
研究代表者 |
田中 洋一 仁愛女子短期大学, 生活科学学科, 准教授 (20340036)
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研究分担者 |
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
鈴木 克明 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90206467)
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キーワード | 教育工学 / 学習環境 / 学習共同体 |
研究概要 |
福井県の大学連携プロジェクト「Fレックス」で形成した学習共同体を利用し,真正な学習環境を構築する実践研究を継続的に行った.そのため,Fレックスの基盤システムである,オープンソースのLMS(Moodle),eポートフォリオ(Mahara),SNS(OpenSNP)を連携した授業設計や学生支援を実施している. (1)共同体における多様な評価による学習内容の分析 授業の課題や振り返りノート,学生生活に関する自己目標・自己評価等をeポートフォリオ上にまとめさせ,学習共同体で共有し,相互評価させることにより,外的動機づけが高まった.学習科学における知識創造メタファーの一つであるSECIモデルに基づき,授業や学生支援のプロセスを設計している.また,真正な学習を実現するため,授業設計及び学習環境を改良し,学習効果を分析した.学習効果としては,客観的な学習成果を測定するテスト以外に,特性的自己効力感の変化を分析した.真正な学習の一つとして,ゼミやサークルにおけるサービスラーニングのモデル構築を行った.具体例としては,障がい者のためのパソコン相談会でのボランティアスタッフ,大学生向けのバリアフリーマップ講習会等.所属機関以外の多様な方に対して「教える」ことがジェネリックスキルや自己効力感の向上に繋がった. (2)研究成果の発表 国内の学会及び研究会,国外のカンファレンスにおいて,事例調査及び研究成果の発表を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)共同体における多様な評価による学習内容の分析 学習成果物の公開はSNSよりもeポートフォリオを中心に行っており,オープンソースeポートフォリオ(Mahara)の設計や活用に関する知見が集まった.昨年度同様,Maharaユーザコミュニティの運営管理やMaharaオープンフォーラムの実行委員を務め,日本のMaharaに関する実践共同体の形成に貢献している.授業設計に関しては,サービスラーニングを取り入れることにより,真正な学習の構築に務めている. (2)研究成果の発表 国外では,学習科学に関する国際会議にて事例調査,Maharaに関する国際会議にて日本の現状を報告,EDUCAUSE Learning Initiativeの会議にてSECIモデルに基づくeポートフォリオ活用を報告.その他,日本の学会にて口頭発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
(1)学習共同体における相互作用に関する分析 学習成果物の公開場所をSNSからeポートフォリオに転換したため,ネットワーク分析よりもテキストマイニングによる分析を行う.一般的な自己効力感ではなく,独自の尺度を作成し,学習効果を分析する. (2)真正な学習のための学習環境モデル構築 サービスラーニングに対応するルーブリックを作成し,eポートフォリオを活用したアセスメントシステムを設計する.それらを用いて,真正な学習のための学習環境モデルを構築する.
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次年度の研究費の使用計画 |
国際会議に参加し,海外における事例調査及び研究発表を行う.
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