繊維遺物はそれらが作られ、使われた時代の生活文化の様子が顕著に反映される調査対象である。繊維遺物の鑑別手法としては、標品となる原生繊維との形態比較が最も簡便で有効とされるが、繊維は有機物であることに起因して劣化分解が進み激しく形態が変化していたり、炭化していたりと原形を留めていないことが多い。このような形態の変化してしまった繊維遺物を鑑別する際の指標とするために、標品となる繊維を人工的に炭化および劣化させた場合の形態と大きさの変化を電子顕微鏡で観測し、大きさの観測値データについては平均値の統計処理を施し、これらの形態画像と観測値データをデータベース化した。
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