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2012 年度 実施状況報告書

中国における木質文化財の用材観

研究課題

研究課題/領域番号 23501221
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

研究代表者

伊東 隆夫  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (70027168)

研究分担者 杉山 淳司  京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
キーワード国際情報交換
研究概要

23年度に、江蘇省にある揚州考古研究所から提供を受けた89点と儀征博物館から提供を受けた50点の遺跡出土木材の樹種同定をおこない、木棺の多くはコウヨウザンや日本に自生しないPhoebe属が用いられていたこと、および、木俑にはキリ属やキササゲ属ほか複数の樹種が用いられていたことを報告し、今後の調査が期待されたが、24年度は日中間に政治的な問題が発生し、予定通りの協力を得られなかった。その分については25年度にまとめて提供を受けることになった。木彫像については、23年度は湖南省由来の73体の神像彫刻の樹種同定をおこなった。その結果、ポプラの仲間とクスノキとサワグルミ属の3分類群の種類のみが同定されたが、特に前2者の利用例がほとんどであったことが判明した。この傾向が普遍的なものかどうかを確かめるためにさらに神像彫刻用材の樹種同定をおこなうべく、アメリカの研究者と2013年3月に共同研究を行う計画を立てたが双方の都合上4月上旬に計画が変更された。予定では200体を上回る神像彫刻を所有するアンティークショップで樹種同定用の試料を採取比較することになっている。(実際には200体の神像彫刻からのサンプリングに成功しているが、樹種同定の成果については最終年度に報告する予定である。)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

24年度は日中間の政治的な軋轢により、研究計画が少し遅延することがあったので、24年度としては研究計画の達成度は鈍化した。しかし、23年度に遺跡出土木材および木彫像の用材の調査において、かなりまとまった調査をおこなうことができた。さらに、25年度には遺跡出土木材および木彫像の用材の調査ともに多くの試料の提供が見込まれているので、現在までの達成度としては予想以上の達成度にあると結論づけることができる。

今後の研究の推進方策

当初、中国における木質文化財の用材の調査の対象として①遺跡出土木材、②木彫像、③歴史的木造建築、の3つを考えたが、③についてはまとまった試料の提供先を見つけることは難しい状況にある。これに反して、①の遺跡出土木材については、揚州考古研究所および儀征博物館が大変協力的であり、25年度にはさらに追加の50試料の提供を受ける予定である。これら以外にも、昆明市にある西南林業大学と雲南省で発掘された漢代の木質遺物の樹種同定で共同研究を行うという計画も進行中である。一方、③についてはアメリカのハーバード大学の研究者との共同研究でさらに200体の神像彫刻の用材について研究を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

25年度は最終年度であるが、24年度におこった国際間の紛争により研究計画が少し足踏み状態になり、多少の繰越額が生じた。それを挽回すべく25年度に中国および諸外国での調査を精力的に行う予定である。具体的な調査の計画としては、4月上旬にアメリカのミルウォーキー市に所在するアンティークショップを訪問し、アメリカハーバード大学教授のジェームズロブソン氏と神像彫刻の樹種同定で共同研究を行い、200体以上の神像から木材片のサンプリングを行う予定である。さらに、国際会議にも出席し、これらの調査研究から得られた成果を報告する予定でいる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 大谷3号窯出土木炭の樹種同定、「篠窯跡群大谷3号窯の研究」2012

    • 著者名/発表者名
      伊東隆夫
    • 雑誌名

      大阪大学文学研究科考古学研究報告 第5冊

      巻: なし ページ: 267-272

  • [雑誌論文] 第3章 京都大学北部構内BH31区の発掘調査2012

    • 著者名/発表者名
      冨井 眞・伊東隆夫・金井いづみ・佐々木尚子・杉山淳司・高原 光・辻本裕也・那須浩郎・藤井裕之・村上由美子・Mechtild MERTZ
    • 雑誌名

      京都大学構内遺跡調査研究年報 2009年度

      巻: なし ページ: 111-246

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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