神像 主に中国由来の神像の樹種同定をおこなった。先行する研究の結果では73体の神像のうち、ヤマナラシ属の一種とクスノキが大半の彫刻に使用されていたが、今年度の調査の結果ではそれを裏付けるようにヤマナラシ属の一種とクスノキ、とりわけクスノキが多くの彫刻に利用されていることが判明した。 遺跡出土木材 上海市の上海松江広富林遺跡から新石器時代の木材が多数出土し、そのうち303点の試料の提供を受けた。さらに、広州市の南越王宮博物館から漢代の木樋その他73点の木製品試料の提供を受け、樹種同定をおこなった。前者の遺跡から10点以上検出された樹種を列挙するとコナラ属(クヌギ節とコナラ節)29点、シイノキ属22点、エノキ属17点、カツラ属15点、ニレ属13点、カキノキ属13点、ヤマグワ属10点であり、その他に20分類群ほどの樹種が検出されたがいずれも検出数は若干数という結果であった。後者についてはPhoebe属の1点を除き他はすべてコウヨウザンであった。
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