研究課題/領域番号 |
23501224
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
杉山 岳弘 静岡大学, 情報学部, 准教授 (70293595)
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キーワード | インタプリテーション / マルチモーダル・データベース / 博物館 / ガイド |
研究概要 |
本研究の目的は、博物館の現場におけるインタプリテーション活動を支援するため、収蔵品の持つ文化や歴史や科学や芸術など、その豊かな世界をマルチモーダル・データベース(学芸員が解説するような知識構造と豊かな表現を持った映像や音声やテキスト等で表されたストーリーを持ったコンテンツのデータベース)を構築することにある。これにより、来館者に良質な学習環境を提供するとともに、従来の博物館のデータベースを拡張し、それぞれの収蔵品と関連情報を有機的に結びつけ、さらに、学術的にもこれまで表現しにくかった貴重な時事の記録を蓄積・活用できる環境を提供する。 平成24年度では、インタプリテーション支援のための博物館のコンテンツ制作およびマルチモーダル・データベース構築を試験的に実施した。また、継続して、学芸員ガイドの収集と分析と体系化を行った。さらに、メタデータの記述については、Linked Dataを利用して、既存のデータベースと結合するアーキテクチャを設計して、マルチモーダル・データベースの構築およびインタプリテーションでの活用と評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、博物館の現場におけるインタプリテーション活動を支援するため、収蔵品の持つ文化や歴史や科学や芸術など、その豊かな世界を表現するマルチモーダル・データベースの構築について、学芸員ガイドの収集と分析とデータベース化、インタプリテーション支援のためのコンテンツの制作、インタプリテーション支援のためのメタデータおよびアーキテクチャの設計およびシステムの実装と構築、これを活用したインタプリテーションの実験と評価の試行を実施することができ、当初の年度目的を達成できたと言える。具体的な達成した課題は、1.学芸員ガイドの収集と分析とデータベース化、2.インタプリテーション支援のためのコンテンツの制作、3.インタプリテーション支援のためのメタデータおよびアーキテクチャの設計、4.マルチモーダル・データベースのシステムの実装と構築、5.マルチモーダル・データベースを活用したインタプリテーションの実験と評価の試行である。 1については、全国で実施されているガイドをWebページなどから調査して、データベース化し、実施方法や形式などを分析し、まとめてガイドの体系化を行った。2については、動物園について、インタプリテーションを実施するためにQ&Aをベースとしたコンテンツを制作した。3および4については、2で作成したコンテンツを、Linked Dataによって、コンテンツ間の関係と多様なメディアによって記述して、マルチモーダル・データベースを構築して、インタプリテーションをしやすいインタラクティブなシステムを構築した。5では、この構築したシステムを利用して、動物園においてインタプリテーションの実験を行い、評価して、効果があることを確認した。また、現在、浜松市博物館と協力して、平成24年度からボランティアガイドの養成講座を実施しており、平成25年度で試験的にガイドを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、浜松市博物館と連携をしてインタプリテーションの実施を進めつつ、現場でのマルチモーダル・データベースを活用したインタプリテーションの評価と改善、さらに博物館におけるインタプリター養成および普及活動に関して、次の課題を設定し実施する。1.インタプリテーションにおけるマルチモーダル・データベースの評価と改善、2.博物館におけるインタプリターの養成支援および普及活動。 博物館でのインタプリテーションのための設備におけるマルチモーダル・データベースを活用した、インタプリテーションの「形」を構築し、実際に様々な興味のレベルにある来館者を対象として、浜松市博物館の学芸員らと学芸員を目指す学生らと協力し、継続的にインタプリテーション活動を実施して、総合的な評価と改善を行っていく。浜松市博物館の館長および学芸員らと協力して、収蔵品データベースや映像コンテンツを活用できるインタプリターを養成する講座の企画・運営を継続的に実施するための組織作りを行っていく。また、全日本博物館学会等と連携した普及活動も検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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