今後の研究の推進方策については、浜松市博物館と連携をしてインタプリテーションの実施を進めつつ、現場でのマルチモーダル・データベースを活用したインタプリテーションの評価と改善、さらに博物館におけるインタプリター養成および普及活動に関して、次の課題を設定し実施した。 博物館でのインタプリテーションのための設備におけるマルチモーダル・データベースを活用した、インタプリテーションの「形」を構築し、実際に様々な興味のレベルにある来館者を対象として、浜松市博物館の学芸員らと学芸員を目指す学生らと協力し、継続的にインタプリテーション活動を実施して、総合的な評価と改善を行った。インタプリテーションの「形」として、ストーリーの組み立てと、コミュニケーションスキル、フレーズ集の要素が重要であることが分かった。また、ガイドが来館者に与える印象についても調査・分析を行い、見た目の印象に関わらず、ガイドのコミュニケーションスキルが重要であることが明らかになった。 浜松市博物館の館長および学芸員らと協力して、収蔵品データベースや映像コンテンツを活用できるインタプリターを養成する講座の企画・運営を継続的に実施するための組織作りについて検討した。具体的には、説明ボランティア講座のボランティアスタッフに対してインタプリレーションの実践を試みたが、ガイドの基本スキルおよびITリテラシーの課題から、インタプリテーション技法そのものを取り入れることは困難であったが、部分的に取り入れることでガイドの特性に合わせた独自のガイド方法を経験により構築していくことが重要であると分かってきた。普及活動については検討のみにとどまったが、企業でのブランド向上のための職場見学や工場見学にも応用が十分に可能であることが分かった。
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