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2012 年度 実施状況報告書

標本と文書資料を統合した博物学資料に基づく日本の哺乳類学黎明期の解読

研究課題

研究課題/領域番号 23501232
研究機関独立行政法人国立科学博物館

研究代表者

川田 伸一郎  独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究員 (30415608)

研究分担者 山田 格  独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, グループ長 (70125681)
キーワード博物館資料論 / 哺乳類 / 科学史
研究概要

当該年度は代表者が英国自然史博物館(ロンドン市)を訪問し,明治時代に外国人ナチュラリストが国内から送り出した標本について調査を行った.ラベル情報などをもとにこれらをリスト化し,特にマルコム・アンダーソンが国内で行った調査に注目して,その旅程と収集した標本の質・量的な観点から分析した.アンダーソンはこの時代に日本の哺乳類に関してもっとも精力的かつ網羅的に標本収集を行った人物であることは明らかであるが,そのコレクションの全貌はまだ理解されていなかった.今回の調査により,食虫類・齧歯類などについてのリストを作成し,標本の状態を確認することができたことは意義深い.
また同博物館の動物学図書室に保管されている,明治時代に日本から送られた書状・標本の送り状などを調査し,特に横浜で標本商を営んでいたアラン・オーストンに関する情報を収集した.その結果オーストンが日本で雇用していた採集人による小笠原・琉球列島・中国海南島といった地域での調査の様子が少しずつ明らかになっている.これを受けて横浜開港資料館を訪問し,オーストンの貿易会社で雇用された人物の記録を調査し,その成果の一部を学術誌に報告した.
研究分担者はライデン自然史博物館(オランダ・ライデン市)を訪問し,シーボルトにより国内から送り出された鯨類標本についての調査を行った.シーボルトにより収集された日本の哺乳類はライデン自然史博物館の研究者によって調査・研究がなされ,日本の哺乳類が世界に紹介されるきっかけとなった.鯨類に関してはシーボルト標本による命名が現在の分類と合致しないものがあるため,実物標本の観察による確認作業を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度予定していた調査が十分に行えなかったため,24年度は積極的にデータ収集に努めたが,まだ若干の遅れを取り戻せていない状況である.その理由として代表者の経常業務である博物館展示が年末から年度末にかけて重なったことと,例年にも増して標本個体の受け入れが多かったことがある.

今後の研究の推進方策

国内資料については予定していた調査内容をほぼ完了したと考えているが,ヨーロッパに所在する標本に関してはまだ小哺乳類と一部の鯨類に関する情報のみ得られている状況である.25年度に代表者が一回出張し,データを完全なものにしたい.目的の達成度は遅れ気味であるが,海外での博物館調査によって未解析のデータは蓄積されているので,今後データ解析を進めていく予定である.

次年度の研究費の使用計画

次年度に繰り越す予算は,ヨーロッパの博物館での標本調査のための旅費として支出する.文献や調査データに関してはアルバイトを雇用し,謝金を支出する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 標本をめぐる採集人と貿易商と収集家 -ハイナンモグラのラベルを読み解く-2012

    • 著者名/発表者名
      川田伸一郎・安田雅俊
    • 雑誌名

      哺乳類科学

      巻: 52 ページ: 257-264

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公開日: 2014-07-24  

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