研究課題/領域番号 |
23501235
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
真鍋 徹 北九州市立自然史・歴史博物館, その他部局等, その他 (90359472)
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研究分担者 |
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60204690)
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キーワード | 博物館学 / デジタルデータ / 動画 / インターバル撮影 |
研究概要 |
本研究は、身近であるが日常的な生活リズムでは認識しにくい自然現象を、インターバル撮影によってデジタル動画データ(一次映像資料)として記録し、アーカイブ化し、編集し、活用するまでの一連の手法の構築を目的としたものである。 平成23年度(研究初年目)は、短時間スケール(数時間~数日)の自然現象をターゲットとし、長崎県対馬市の龍良山照葉樹天然林において「天然林の林床における光環境の日変化」および北九州市曽根干潟において「干潟における潮の干満」の予備撮影を実施した。 平成24年度(研究2年目)は、新たに数種類の草原性植物の開花状況の予備撮影を行った。また、龍良山照葉樹天然林において、「天然林の林床における光環境の日変化」の本撮影を行ったが、調査期間のほとんんどが雨天~曇天であったため、展示用映像(二次映像資料)としては活用できなかった。しかし、雨天から曇天の際の林床の光環境の変化という、森林生態学的に興味ある状況を映像資料として収集することができた。このように、市民向けの魅力的な展示には利用しにくいものの、学術的に興味ある一次映像資料が予期せず得られる場合のあることが判明し、一次映像資料の撮影、保存、活用手法に関し、整理・再考すべき課題が見つかった。 さらに、これまでに得られた一次映像資料を、博物館における展示用資料(二次映像資料)とするための編集方法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
良好な状態で撮影できた一次映像資料は当初の予定より少なかったが、自然科学的に興味ある映像を撮影することができ、一次映像資料の撮影・保存・活用手法に際しての再考すべき課題が見つかった。また、現地撮影は天候等の自然条件に予想以上に影響を受けることが再確認され、現地撮影に際しての新たな問題点・留意点を把握することができた。 一方、研究代表者の所属機関(北九州市立自然史・歴史博物館)のリニューアル工事に関する日常用務の増大により、共同研究者間の連携強化をより密にするための研究打合せが1度しか実施できなかった。このため、撮影テーマや効果的な編集手法の検討を、当初の予定ほど進展させることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
【多彩な一次映像資料の収集】 身近にあるものの、自然界の不思議さや美しさの内包された「日常的な生活リズムでは認識しにくい自然現象」の選出を行う。これまでの研究をとおして蓄積された手法・情報を援用し、選出された自然現象の撮影(一次映像資料の収集)を実施する。その際、どのような撮影手法を用いれば、二次映像資料として活用しやすい映像が得られるかも再検討する。加えて、現地撮影の精度をより高めるための留意点も再検討する。 【視覚化から知覚化へ向けた編集手法の構築】 一次映像資料の効果的な活用(映像展示)に向け、映像提供者側(展示実施者側)の展示意図をより正確に、かつ判り易く伝えるための編集方法を検討する。さらに、展示用映像の試作品(プロトタイプ)を用いたワークショップ等を実施し、実際の映像展示に向けての改良点や留意点を抽出し、編集にフィードバックさせる。 一次・二次映像資料のデータベース化法の検討を行い、「日常的な生活リズムでは認識しにくい自然現象」の視覚化・知覚化に向けての撮影・編集・データベース化といった一連の手法を取りまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
詳細かつ多彩な一次映像資料を多数得るため、野外調査のための旅費と野外設置用デジタルカメラの購入に重点を置いた使用を計画する。 また、魅力的で鑑賞者の知覚化を促すことのできる編集手法の構築(二次映像資料化手法の構築)に向け、研究代表者と研究分担者との連携強化のための研究打合せ、プロトタイプとして作成した二次映像資料を実際に市民に見てもらい意見を収集するためのワークショップの実施のための使用を計画する。
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