研究課題
平成26年度は、当初の予定研究期間を延長した一年間で、延長の主な目的は斜面の崩壊による地形変化に関する統計モデルの改良であった。その成果の一つとして、日本の中越地域を対象に、深さの異なる二種類の斜面崩壊の分布を説明するモデルを構築したことがあげられる。もう一つの成果は、人工知能に基づく機械学習法の一つであるランダム・フォレストを用いて、斜面崩壊の発生しやすさを評価するモデルを新潟や四国を対称に構築したことである。一方、広域の斜面変動に関する検討として、日本全国および台湾全土を対象に、最近発生した斜面崩壊や土石流のデータを統計的に解析し、斜面変動を発生させる降雨の特徴、および降雨と斜面崩壊の規模との関係などを検討した。これらの成果を踏まえて、山地のV字谷の特徴および発達と斜面崩壊との関係を論じ、その成果を台湾で開催された国際学会における2回の招待講演などで公表した。さらに、海岸域に位置し津波がしばしば侵入する谷の形状について検討を行った。東日本大震災で被災した三陸のリアス式海岸を対象に、高解像度の地形測量を行い、通常の斜面プロセスでは形成されないと考えられる谷の特徴を抽出した。その特徴的な地形の分布が、対象地域における大規模な津波の規模と対応し、津波による侵食の影響を反映することを指摘した。研究期間全体を通じた成果は次のようにまとめられる。1)地理情報システム、デジタル標高モデル、リモートセンシングを活用した地形研究に関する国際的な動向に関するレビュー、2)デジタル標高モデルを活用した山地の谷と流域の地形に関する統計的分析を北アルプス、台湾中央山脈、中国広東省、アラビア半島西部などの広域で実施し、一般論と地域性を抽出、3)谷の地形に津波が与える影響に関する分析と新知見の獲得。4)国際学術誌、英語書籍、国際学会を中心とする成果の発表。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)
Terrestrial, Atmospheric and Oceanic Sciences
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.3319/TAO.2014.12.02.07(EOSI)
Geomorphology
10.1016/j.geomorph.2015.02.034
地学雑誌
Geology
巻: 42 ページ: 999-1002
10.1130/G35680.1