研究課題/領域番号 |
23501243
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
黒木 貴一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | GIS / 都市域 / 河川 / 氾濫原 / 地図 / 空中写真 / 衛星データ / 自然災害 |
研究概要 |
福岡平野及び河川に対し基礎研究を実施した。御笠川(二級河川)に関する5mDEMによる陰影図から地形区分を実施し,それに基づく地形の標高,比高,面積,体積,流域面積の分布から洪水被害の要因を検討した。平野一部の空中写真に近赤外域の画像データをコンポジット化し最尤法分類することで土地被覆が詳細にでき,また二時期の差分で土地被覆変化を定量的に把握できることを示した。平野全体に対し DEMで計算した流域と流出係数との組み合わせから,河川に対する雨水流入量の変化を,経年的かつ空間的に把握した。これより市街化により河川周辺まで人工的な土地利用へと変化していることを捉えた。同様の土地被覆の検討では,ASTERデータによるNDWI(正規化水指標)と5mDEMによるTWI(地形湿度)が実際の氾濫域によく対応することを確認した。 さらに大分川(一級河川)に対し河川に関する情報取得方法を検討した。5mDEMを用いた地形の数量化方法の検討では,地形分布や橋梁・堰・支流合流の有無が地形の標高や比高の分布に影響を与えていることを確認した。これより一級河川は二級河川よりも地形区分は多いが, DEMによる地形の数量化方法は一級河川での洪水被害の要因検討にも使用できる見通しを得た。空中写真を用いた土地被覆情報の整理方法の検討では,空中写真をデジタル化し幾何補正した後に,事例域にて地形区分スケールにあわせた土地被覆図を試作した。地形図による土地利用情報の整理方法の検討では,河川中心線から一定距離内における土地利用情報を一定の間隔で整備し,河川周辺の土地利用変化の比較準備を進めた。ASTERデータによる土地被覆情報の整理方法の検討では,データのメッシュサイズが河川区分スケールに対して大きく,より詳細なデータが必要なことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
時空間地理情報の統合化のための基礎研究を二級河川で実施したが,データ準備と解析方法検討に時間を要した。しかし都市域の自然災害に対する氾濫原の評価として,DEM,空中写真,地形図,衛星データそれぞれを用いた事例検討ができた。一級河川に対する研究では,想定以上に地形種や環境(土地利用や土地被覆)区分の量が多く,また選定した対象範囲が広すぎたため,河川に関わる地理情報整理方法の設定および作業に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度,都市域の河川に関する時空間地理情報のデータベース化方法と個別データの解析方法は整理できたが,各情報はまだ地形情報を中心とする関連付けが薄い。そこで24年度は,地形情報と土地利用あるいは土地被覆情報との結合方法を中心として,研究協力者や連携研究者と協議しつつ検討を進める。その際,大分川では対象範囲が広すぎ情報整理に手間取ったことを踏まえ,24年度対象とする河川は上流と下流に区分し好条件の方に範囲を絞って研究を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
大淀川の上流域あるいは下流域のデータ整備状況を調査したうえで,物品費により衛星データ,空中写真,地形図などの消耗品を購入する。大淀川の現地調査を実施し,学会で成果発表を実施するための旅費を使用する。現地調査時にはレンタカーを利用するための借り上げなどの支出を見込む。空中写真と地形図からの地理情報データ作成のために謝金を使用し研究の効率化を図る。その他,氾濫被害と津波による浸水被害との相違を整理するための調査関連の支出も見込む。
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