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2012 年度 実施状況報告書

都市域における時空間地理情報を用いた氾濫原の特性評価の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23501243
研究機関福岡教育大学

研究代表者

黒木 貴一  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)

キーワード大分川 / ASTER / NDXI / 合流 / 比高
研究概要

大分川の堤外を対象にASTERデータによるNDSIとNDWIの変化を地形区分と詳細に比較した。この結果,1)NDXIの経年変化は,地形を水域と河床に区分し,河道を屈曲区間と直線区間に区分して観察すれば分布の特徴を整理できる,2)NDSIとNDWIの経年変化では,正相関と逆相関の両傾向が見られるなど,が分かった。この特徴は現地調査などから,洪水に伴う堆積物増減とそれに伴う植生変化と対応付けられた。また,大分川流域の空中写真に近赤外域データをコンポジットし土地被覆分類図を作成した。分類図では,例として竹林が繁茂しやすい川沿いの地形条件地に竹林を精度よく捉えられた。さらに氾濫原の災害リスクの分析準備として,GISで分類図を流出係数の分布図に変換する教師を現地で確認した。
大淀川水系を対象に微地形の水面からの比高などから合流による洪水被害の脆弱性を検討した。地形別地形縦断曲線を観察した結果,1)下流方向に見ると,各地形の比高は微変動を伴いつつ次第に低下するが,合流点や河口付近では反転し高まる,2)比高増減は河床1,低地,微高地間で周期が近似し振幅は微高地-低地-河床1の順に大きいなど,が分かった。なお河口の堤外地形と海との関連性も見いだされたため,東北地方太平洋沖地震に伴う津波災害地での地形および植生変化を,比較のため包括的に調査した。地形図による土地利用情報の整理方法の検討では,大淀川周辺の中心線から一定距離内における土地利用情報の整備を進めるとともに,堤内外の地形と土地利用の関係の分析を進めるための準備として,現地踏査から観察を行った。また宮崎平野では,MODISなど数種類の解像度が異なる衛星データを,一定の解像度に固定し,一定期間の頻度で同精度の土地被覆情報を取得した。加えて各データからNDSI,NDWI,NDVIなど環境指標を算出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

対象範囲が広すぎた2011度の問題点を踏まえ,都市域を持つ一級河川の下流部に限定して研究調査を進めた。2011年度のデータ準備および解析手順の検討結果を踏まえ,河川それぞれに焦点を絞った研究調査を進めた。さらに自然災害に関わる地形変化と解釈可能な解析結果を得られた。DEM,衛星データ,空中写真,地形図による解析の統合化に関する検討は不足しているが,自然災害に対する氾濫原の評価として,上記3点から昨年度よりも効率的に研究調査が進められたと考え,達成度は標準的と判断した。

今後の研究の推進方策

2012年度,都市域の河川に関する時空間地理情報のうちDEMと衛星データは氾濫原の評価に直結する地形形成過程に接続できた。しかし空中写真と地形図では,データベース化と個別データ解析を個別に進めたが,氾濫原の評価に直結する明瞭な規則性を見いだせていない。また各衛星データのセンサーが異なることによる精度検証が残る。そこで最終年度は,地形形成過程と土地利用あるいは土地被覆情報との結合方法を中心として,最近氾濫被害の生じた大淀川で研究協力者や連携研究者と協議しつつ再検討を進める。さらに昨年豪雨による自然災害が多発した白川流域を対象として,検討結果を検証する。最後に,3年間の検討結果を報告書にまとめる。

次年度の研究費の使用計画

白川の2012年被害地域を中心に,物品費により衛星データ,空中写真,地形図などを購入する。大淀川及び白川の現地調査を実施するため旅費を使用し,同時に現地調査時にはレンタカーを利用する支出も見込む。その他,学会で成果発表をするための旅費を使用する。白川に関する空中写真と地形図からの地理情報データ作成のために謝金を使用する。研究成果を整理する報告書の印刷のための支出を見込む。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 東北地方太平洋沖地震津波による宮城県の津波被害地域の特徴とその後の変化2013

    • 著者名/発表者名
      磯望、黒木貴一、後藤健介、宗建郎、黒田圭介
    • 雑誌名

      西南学院大学人間科学論集

      巻: 8-2 ページ: 185-213

  • [雑誌論文] 国土の数値情報に基づく福岡平野における豪雨時の土地条件評価2013

    • 著者名/発表者名
      黒木貴一、宗建郎、磯望、後藤健介、黒田圭介
    • 雑誌名

      福岡教育大学紀要

      巻: 62-2 ページ: 19-31

    • URL

      http://hdl.handle.net/10780/1453

  • [雑誌論文] 福岡県における土砂災害分布の経年的特徴2012

    • 著者名/発表者名
      磯望・黒木貴一・宗建郎・黒田圭介・後藤健介
    • 雑誌名

      第6回土砂災害に関するシンポジウム論文集

      巻: 6 ページ: 89-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 基盤地図情報の5mDEMによる御笠川の氾濫の地形条件分析2012

    • 著者名/発表者名
      黒木貴一・磯望・宗建郎・後藤健介・黒田圭介
    • 雑誌名

      第6回土砂災害に関するシンポジウム論文集

      巻: 6 ページ: 141-146

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 1953 年6 月水害における室見川・樋井川の河川水量試算2012

    • 著者名/発表者名
      宗建郎・黒田圭介・黒木貴一・磯望・後藤健介
    • 雑誌名

      第6回土砂災害に関するシンポジウム論文集

      巻: 6 ページ: 189-194

    • 査読あり
  • [雑誌論文] コンポジット空中写真による土地被覆分類図を用いた土地条件解析事例~大分川を例に2012

    • 著者名/発表者名
      黒田圭介・黒木貴一・宗建郎・磯望・後藤健介
    • 雑誌名

      第6回土砂災害に関するシンポジウム論文集

      巻: 6 ページ: 153-158

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 奈多砂丘B遺跡の地質調査2012

    • 著者名/発表者名
      下山正一・黒木貴一・磯望
    • 雑誌名

      市史研究ふくおか

      巻: 7 ページ: 32-46

  • [学会発表] 大淀川水系の地形縦断曲線の特徴

    • 著者名/発表者名
      黒木貴一・磯望・黒田圭介・後藤健介・宗建郎
    • 学会等名
      日本地理学会2013年春季学術大会
    • 発表場所
      立正大学
  • [学会発表] 2012年7月九州北部豪雨災害の特徴について

    • 著者名/発表者名
      磯望・黒木貴一・黒田圭介・宗建郎
    • 学会等名
      日本地理学会2013年春季学術大会
    • 発表場所
      立正大学
  • [学会発表] 2011年新燃岳噴火による降下テフラ層の変化

    • 著者名/発表者名
      黒木貴一・磯望・後藤健介・宗建郎・黒田圭介
    • 学会等名
      自然災害研究協議会西部地区部会
    • 発表場所
      九州大学西新サテライト
  • [学会発表] 山国川と矢部川の平成24年7月九州北部豪雨災害状況

    • 著者名/発表者名
      黒木貴一・磯望・宗建郎・黒田圭介
    • 学会等名
      福岡地理学会例会
    • 発表場所
      福岡大学セミナーハウス
  • [学会発表] 大分川下流域におけるNDXI画像変化と地形

    • 著者名/発表者名
      黒木貴一・後藤健介・磯望・黒田圭介・宗建郎
    • 学会等名
      日本地理学会2012年秋季学術大会
    • 発表場所
      神戸大学

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公開日: 2014-07-24  

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