最終年度は一級河川の白川では,衛星データと空中写真をコンポジットして最尤法分類し,土地被覆の経年変化と2012年北部九州豪雨における被害地域との関連性を検討した。その上流域では,豪雨後のTHEOSデータに対し,地形量データと豪雨前の衛星データをコンポジットして最尤法分類し,被害地域区分を実施した。二級河川の御笠川では,土地利用情報から河川流量を算出し,2003年九州豪雨では河川流量の増加区間と溢水との関連を示した。海岸平野では,2011年東北地方太平洋沖地震による津波被害の被害状況,石碑,復旧状況を調査し,衛星データから浸水域外の植生被害を抽出した。さらにアフリカ・ケニアにおける自然河川地域の洪水が発生しやすい場所の土地利用特性を衛星データから検討し,氾濫原などの小起伏地のDEM作成に簡易GPSが適用可能かを検討した。 本研究では,地形図,空中写真,衛星データなど時空間地理情報を用いる氾濫原,特に堤外に対するGISによる総合的な解析を通じて,都市域の自然災害の量的・質的評価が可能なことを示した。具体的には災害リスクを持つ地域の抽出方法として,5mDEMによる地形区分と地形量分析,国土数値情報とDEMを結合させた分析,衛星の近赤外データと空中写真を結合させた分析,衛星データのNDXI分析,衛星データと地形量等コンポジットデータによる最尤法分類の有効性を示した。また,簡易GPS計測試験や津波災害や海外での調査を通じ,氾濫原に対する上記手法の適用性も確認した。最終年度に当り,これらの成果をとりまとめた報告書を作成した。
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