研究課題
阿蘇カルデラとその周辺域には約220平方kmに及ぶわが国最大級の草原が広がっており、『日本書紀』などの記載から“千年の草原”といわれてきたが、科学的な根拠に乏しいことが問題であった。 本研究の目的は、この阿蘇の草原が (1) いつの時代から存在するのか、(2) どのような植生種によって構成されてきたのか、(3)どのような要因によって、草原が成立して維持されてきたのかを地質学的調査と植物珪酸体分析および微粒炭分析を行うことによって科学的に解明することである。平成24年度は,前年度に設定した調査地点を含め,阿蘇カルデラ周辺域において調査断面の記載・観察・試料採取を行った。一部の地点においては植物珪酸体分析を行って、データの解析を実施した。本年度の主要成果は、阿蘇カルデラ東方域と西方域における模式地点から最近約3万年間の植生変遷の概要を把握できたことである。その成果は、国際学術雑誌(査読付)などに掲載された。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度は、阿蘇カルデラ東方域と西方域における模式地点から最近約3万年間の植生変遷の概要を把握できるなど、研究はおおむね順調に進展した。
阿蘇カルデラ周辺域における地層の年代はおおよそ把握しているが、さらに時間分解能の高い環境変遷を検討するため、加速器質量分析(AMS)法による放射性炭素年代測定を実施する予定であった。しかしながら、年代測定に耐えうる試料を現地調査で発見することができなかった。次年度は十分な現地調査を行って、目的を達成できるような年代測定試料の発見に努める。
平成24年度に使用できなかった研究費は、次年度に分析試料を発見・採取するための調査旅費、分析費用(専門機関に依頼)、論文別刷代、成果を公表するための学会参加費などに支出する。
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