平成25年度までの研究成果を,平成26年度では一般向けに公開することに注力した。本研究で収集した植物季節データについて,一般向けにwebでの公開を始めた。また,研究者向けならびに一般向けを想定して作成した冊子体の研究成果報告書(詳細版)の配布を行った。この冊子には,解析結果に関する詳細な記述のほかに,研究の根幹となった植物季節データ(満開日,紅葉日など)を与えた古記録・古日記類での大量の具体的記述について,年別に集成したリストも掲載されている。この冊子体の報告書を国内(一部は国外)の,研究成果が関連するさまざまな専門領域の研究者に送付するとともに,国立国会図書館やすべての都道府県立図書館(改築中の一部を除く)への献本を完了した。 平成25年度に,江戸における3月平均気温の復元結果を論文として取りまとめ,国際学術誌(International Journal of Biometeorology誌)に投稿していたが,これについては,平成26年5月19日に受理され,6月5日にオンライン公開されるに至った。この論文審査の過程における追加の相互相関分析により,京都と江戸の春季の気温推移同士に相互の遅れ・進みは全く認められず,正確に同期していることが定量的に確かめられた。本課題に関係する学会発表については1件行った。これは平成25年度に発表予定でありながら,病欠により発表を断念した内容を多く含んだものであった。
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