気象観測が始まる前に書かれた多くの古い日記を調査し,その中の開花や紅葉に関する記録を調査した。その結果から花見が行われた日をヤマザクラの満開日,観楓があった日をカエデ類の紅葉日として,前者から3月,後者から10月の平均気温の9~19世紀にわたる変化を推定した。京都の3月平均気温は10世紀前半で現在より暖かかったこと,太陽活動が不活発な4つの時代には気温が現在より3℃程度低下したこと,京都の10月の気温も3月とほぼ同様な推移を示したこと,京都と江戸におけ3月平均気温の推移同士には互いに遅れ・進みが認められず,上記の傾向は日本全体で見られた可能性が高いことが明らかになった。
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