研究課題/領域番号 |
23501249
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
須山 聡 駒澤大学, 文学部, 教授 (10282302)
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研究分担者 |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
宮内 久光 琉球大学, 法文学部, 教授 (90284942)
松井 圭介 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60302353)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 離島 / 島嶼性 / 自己完結性 / 開放性 |
研究概要 |
本研究は,離島を特徴づける要素としての自己完結性と開放性に着目し,両者をそれぞれ「まとまり」,「つながり」ととらえ,「まとまり」と「つながり」の様態によって各離島の地域的特性,すなわち島嶼性が形作られるとの仮説に立つ。これら2つの概念を指標化し,両者をクロスさせることで離島を類型区分し,それぞれの類型から離島の地域的な性格,すなわち島嶼性を解明することを本研究の目的とする。 本年度は「まとまり」と「つながり」の指標化と得点化を研究計画の中心に据え,関連資料・統計データの収集と入力作業を行った。また,「まとまり」の指標化の一環として各離島の地域社会の紐帯を見いだすために,研究代表者および研究分担者がそれぞれ重点を置く離島のフィールドワークを実施した。「まとまり」指標に関してはとくに研究代表者の須山がフィールドとする奄美大島において,地域社会の紐帯を計測・得点化する手法が見いだされつつある。また,研究分担者の宮内は,航路・航空路の運行頻度や始終発から,離島と本土の結合度を見いだす手法の開発に取り組んでいる。 研究代表者の平岡は,歴史地理学の立場から,国土フロンティアとしての離島が,本土により近い離島を拠点として開発された経緯を明らかにし,松井は五島列島などを事例に観光資源化される宗教の地域的な意味づけを考察している。これらは「つながり」「まとまり」いずれの意味づけをも含み込むことが明らかとなりつつあり,両者を二項対立的にとらえようとした本研究計画に修正を加える必要性をはらむ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災のため,現地調査を予定していた三陸海岸の離島の調査が未着手である。被害の大きさから,当該地域を対象とすることは再考せざるを得ない。また,研究経費の振り込みが遅れたため,夏季休業期間に十分な調査活動が実施できなかったことも不測の事態であった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の遅れを取り戻し,研究計画を達成するためには,現地調査の回数を増やすことが肝要である。また,「まとまり」「つながり」指標の得点化とデータベース作成を急ぐため,データベース構築に熟練した者を短期雇用し,有用なデータベースを作りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は離島の得点化,および座標への布置・類型化および島嶼性の検出に従事する。前項で指摘したとおり,これらの作業の前提として離島のデータベースの構築が必要である。また類型化・島嶼性の検出にはメンバーが集まって討論する必要がある。 当該年度はむしろ類型の性格づけのためのフィールドワークに注力したい。具体的には,「まとまり」の実態としての中心地機能の集積や産業構造が,土地利用や景観にどのように反映されているかを,観察と聞き取り調査によって明らかにする。また固有の儀礼や祭礼の存在についても確認する。この点に関しては宗教地理学を専門とする松井のキリシタン信仰に関する知見が有用である。一方「つながり」についても,戦前の移民の記録や地方紙の記事など,現地でなければ得られない資料の収集にあたる。 現在のところ,八重山諸島・奄美群島・五島列島・家島諸島・小笠原諸島などを調査対象地域として想定している。いずれも中心となる主島とそれをとりまく小規模島から構成されているため,1諸島内で類型のうちの多くが見いだされることが予測される。応募者らはこれらの離島において精力的な調査を実施しており,地元行政や住民との良好な関係を構築している。
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